2015 Fiscal Year Annual Research Report
インドネシアにおける人獣共通原虫病の疫学調査と社会実装可能な診断方法の開発
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26304037
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Research Institution | Obihiro University of Agriculture and Veterinary Medicine |
Principal Investigator |
西川 義文 帯広畜産大学, 原虫病研究センター, 准教授 (90431395)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 まどか 岩手大学, 農学部, 助教 (20700488)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 国際研究者交流 / インドネシア / 人獣共通感染症 / トキソプラズマ / クリプトスポリジウム / 診断 / 疫学調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度は主に下記2項目について実施した。 1. スラウェシ島北部における原虫感染症調査の協力体制の構築 2015年6月22日~6月24日に調査研究拠点のサムラトランギ大学へ訪問し、同大学医学部にてセミナー「Molecular Medical Science Collaboration 2015」を開催し、学生と大学スタッフとの学術交流を図り、本プロジェクトの説明を行った。2015年10月19日~23日の訪問では、帯広畜産大学原虫病研究センターとサムラトランギ大学医学部間の研究学術交流協定(MOU)を締結し、原虫感染症調査に関する部局間の協力体制を確認した。また、TUDA JOSEF博士の研究室にトキソプラズマおよびクリプトスポリジウム検査キットを導入し、技術指導を行った。2016年1月25日~30日の訪問では、TUDA JOSEF博士の研究室にて、検査キットの使用に関するフォローアップを実施した。また、同大学動物科学部Sri Adiani博士(前年度に学術交流協定を締結済み)から提供を受けたブタ血清サンプルにて、トキソプラズマ抗体調査を実施し、データのフィードバックを行った。 2. トキソプラズマ、クリプトスポリジウム感染検出用簡易迅速診断法の開発 トキソプラズマの血清診断用抗原を探索するために、原虫遺伝子40種をクローニングし、診断用抗原のスクリーニングを実施した。解析した遺伝子から4つの候補を選択できたため、現在組換えタンパク質の作製と診断用抗原としての有効性を評価している。またクリプトスポリジウムの診断用抗原を探索するために、4種類の組換えタンパク質を作製し、診断用抗原としての有効性を評価した。そのうちの1種、オーシスト壁の構成タンパク質gp15については、血清診断用抗原としての有用性が示された。現在、本抗原を用いて抗体検出用および抗原検出用のイムノクロマトテストの作製を進めている。上記の簡易診断方法が構築されれば、今後のインドネシアでの調査に応用できる可能性が示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度に計画した下記3項目についての進捗状況を以下に示す。 1. スラウェシ島北部におけるヒトおよび家畜のトキソプラズマ、クリプトスポリジウム感染状況の把握:カウンターパートの研究室に検査キットの導入および技術指導も完了し、原虫感染率のデータ取得を開始している。またトキソプラズマ、クリプトスポリジウム感染検出用簡易迅速診断法の開発に向けて、トキソプラズマ診断用抗原のスクリーニング系の構築と候補抗原の同定、クリプトスポリジウム診断用抗原の作製が完了した。 2. インドネシア全土における家畜のトキソプラズマ、クリプトスポリジウム感染状況の把握:インドネシアの家畜疾病診断センターとの協力体制を構築できたため、インドネシア全土を対象にした家畜原虫病の調査の事前準備を進めている(現在、学術協定の締結にむけた書類を提出済み)。家畜疾病診断センターとの共同研究の成果については、平成27年度に論文2報を発表した。 3. 現地スタッフを対象にした寄生虫学に関する一般教育と診断に関する技術移転講習会の開催:これまでに、調査研究拠点のサムラトランギ大学医学および動物科学部と学術交流協定を締結しており、技術導入と現地スタッフを対象にした寄生虫病に関する教育を継続的に実施した。 以上より、当初の計画通りおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、スラウェシ島北部におけるトキソプラズマ、クリプトスポリジウム感染状況の調査を継続して実施する。サンプル情報を詳細に解析することで、本地域における感染リスク要因を特定する。また、スラウェシ島北部の調査結果の特異性を検証するために、インドネシア全土を対象にした家畜のトキソプラズマ、クリプトスポリジウム感染状況を引き続き調査する。インドネシア農業省(Livestock and Animal Health Services, Ministry of Agriculture Republic of Indonesia)と学術協定の締結を進め、インドネシアに8カ所存在する家畜疾病診断センターと協力して横断的調査を実施する。必要に応じて、バベシア、トリパノソーマ、ネオスポラ等のその他の原虫感染状況の調査も加える。またトキソプラズマ、クリプトスポリジウム感染検出用簡易迅速診断法の開発に向けて、これまでに同定した診断用抗原を用いた診断系を構築し、本調査研究に積極的に導入していく。上記の活動については、論文としての報告を目指す。 本研究での調査結果の報告、学術的成果発表、意見交換会を盛り込んだセミナーを開催し、現地の若手・中堅の担当者を対象に教育・技術移転の活動を継続していく。
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[Journal Article] Molecular epidemiological analyses of Cryptosporidium parvum virus 1 (CSpV1), a symbiotic virus of Cryptosporidium parvum, in Japan.2016
Author(s)
Murakoshi F, Ichikawa-Seki M, Aita J, Yaita S, Kinami A, Fujimoto K, Nishikawa Y, Murakami S, Horimoto T, Kato K.
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Journal Title
Virus Res.
Volume: 211
Pages: 69-72
DOI
Peer Reviewed
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