2015 Fiscal Year Annual Research Report
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26305001
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
石橋 正己 千葉大学, 薬学研究科(研究院), 教授 (90212927)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大崎 愛弓 日本大学, 文理学部, 准教授 (50161360)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 薬学 / シグナル伝達 / 生理活性 / 有機化学 / 植物 |
Outline of Annual Research Achievements |
1)薬用資源調査(天然物探索材料としての植物現地調査):バングラデシュ国,クルナ(Khulna)大学薬学部S. K. Sadhu教授およびダッカ(Dhaka)大学薬学部Firoj Ahmed教授を中心に,熱帯薬用植物資源調査が行われ,とくにバングラデシュ南部クルナ地域周辺で見られる植物種や現地で栽培される薬用植物を中心と調査が行われた. 2)活性成分探索:上記現地調査で入手したバングラデシュ産サンプルについてウィントシグナルに対するスクリーニングを行った結果,Tabernaemontana divaricataの葉部から単離したiboga型アルカロイドcoronaridineはβ-cateninのmRNAレベルでの発現を低下させることによりWntシグナルを阻害した.またアオイ科Hibiscus ficulneusの茎部より単離したリグナンエステルboehmenanは,プロテアソームを介したβ-cateninの分解促進によりWntシグナルを阻害することが明らかとなった.また,Hhシグナル阻害作用に関するスクリーニングにより,ナス科植物Withania somniferaから単離したステロイド誘導体withaferein Aは顕著なGLI1転写阻害活性を示し,Hhシグナルの標的タンパク質であるPtchやBcl2の発現を減少させ,GLI1タンパク質とGLI1結合領域を有するDNAとの複合体形成を阻害することがわかった.キク科Xanthium strumariumの葉部から単離した5種のセスキテルペンはTRAIL耐性克服作用を示した.このうち主要成分であるxanthinosinはAGS細胞において, DR4,DR5,p53,CHOP,Baxなどのアポトーシス誘導タンパク質を増加させ,Bcl2などの抗アポトーシスタンパク質を減少させた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本海外学術調査研究は,第1期が2008-2010年,第2期が2011年-2013年と継続して行っており,本研究は第3期(2014-2017)に当たる.毎年研究代表者がバングラデシュに出張し,現地のカウンターパートの協力を得て,薬用植物資源調査を行ってきた(2015年度は政情不安定が危惧され出張をとりやめた).これまでに数多くの薬用植物を調査採取し,当研究室においてトレイル,ウィント,ヘッジホッグ,ノッチシグナルに対するスクリーニングを行い,数多くの新規化合物を含む活性成分を見い出してきた.さらにそれらの化合物の分子レベルでの作用機構についての解析も行い,興味深い知見を得てきている.
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Strategy for Future Research Activity |
バングラデシュ在住のカウンターパート(研究協力者)との共同研究をひきつづき継続させ,最低年に1回は現地へ出張し,さらなる天然薬物資源調査を行う.2015年度は政情不安定が危惧されたため,出張をとりやめたが,2016年度以降は現地への出張を計画している.現地では植物サンプルの乾燥・粉末化処理を行い,千葉大学側に空輸し,スクリーニング試験用の抽出エキスコレクションを継続して作製し,これをさらに拡充する.拡充したコレクションを活用してトレイル,ウィント,ヘッジホッグ,ノッチシグナル等を対象としたスクリーニング研究をさらに継続して行っていき,さらに新しい活性成分を見出す.
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Causes of Carryover |
ほぼ予算どおりに研究費を使用したが,物品費(研究試薬等消耗品)について,若干の残額が生じた.少額であったため,あえて使い切ることはせず,次年度に使用することとした.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
物品費(研究試薬等消耗品)について,27年度予算に若干の残額が生じたが,28年度に使用する物品費(研究試薬等消耗品)の一部とする.
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Research Products
(15 results)