2014 Fiscal Year Annual Research Report
インドネシア底生海洋生物の調査と新規医薬シーズ資源の開拓
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26305002
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
荒井 雅吉 大阪大学, 薬学研究科(研究院), 准教授 (80311231)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 海洋生物 / 海綿 / インドネシア / 医薬シーズ / 活性天然物 |
Outline of Annual Research Achievements |
インドネシアは、豊富に底生海洋生物資源を保有しながらその調査研究が遅れ、自然破壊も進みつつある。これらの現状をふまえ、本研究では、日本とインドネシア(ランプン大学理学部およびディポネゴロ大学水産海洋学部)の天然物化学者を中心とする共同研究チームにより、海綿を中心とする底生海洋生物の調査・採集、調査地域での生物種の分布・生息状況に関する情報を収集するとともに、医薬シーズ資源開拓のための生物試料採集と抽出エキスライブラリーの構築を行った。また、資源の保全と持続的利用のため、採集した生物試料から共生微生物の分離を行い、それらの培養抽出物ライブラリーを構築した。具体的には、本年度は、スマトラ島北部のアチェならびにサバン島を重点調査地域として、以下の調査研究を実施した。 1. 調査用ボートをチャーターして、沿岸サンゴ礁域をスキューバダイビングにより広範に探索し、底生海洋生物の水中写真、生息状況の調査と70サンプルの生物資料の採集を行った。また生物資料については抽出エキスとして、その写真とともに整理し、ライブラリー化した。 2. 作成した抽出エキスについて、生物活性スクリーニング試験を実施するとともに、その成分分析を開始した。さらに生物資料の遺伝子抽出を行うため、資料の一部の保存を行った。 3. 生物資料から共生微生物の分離を試み、64種類の海洋微生物の分離に成功した。また、これら微生物の培養抽出物をライブラリー化するとともに、産生成分の分析を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通り、日本とインドネシアの共同研究チームにより、底生海洋生物の水中写真の撮影、生息状況の調査、ならびに生物資料の採集を実施できた。さらに64種の共生微生物の分離にも成功している。また、構築した生物資料の抽出エキスおよび共生微生物の培養抽出物のライブラリー化を終了し、これらの成分分析を開始できている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の採集生物試料および共生微生物の成分分析を継続して実施する。また、これらの結果と生物活性スクリーニング試験の結果等を合わせて整理を進め、アチェおよびサバン島周辺地域の底生海洋生物資源に関するデータベースを構築して行く。次年度については、小スンダ列島のアロール島周辺を重点調査地域として、調査・研究を実施する予定である。
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Causes of Carryover |
構築した生物資料の抽出エキスおよび共生微生物の培養抽出物の成分分析が完全には終了しなかったため、次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度、これらの成分分析を実施するための経費として執行する。
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