2014 Fiscal Year Annual Research Report
PK遺伝子から見たアジアにおけるウエステルマン肺吸虫と肺吸虫症の分子疫学的研究
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26305011
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
吾妻 健 高知大学, 学内共同利用施設等, 名誉教授 (40117031)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ウエステルマン肺吸虫 / フォスファーゲンキナーゼ遺伝子 / PKD1イントロン3 / スリランカ / インド / タイ / フィリピン / PCR |
Outline of Annual Research Achievements |
アジアにおけるウエステルマン肺吸虫の2倍体集団間の遺伝的分化、地理的分化の程度、並びに2倍体と3倍体の遺伝的分化、地理的分化の程度の種々のパラメータについて算出するため、核遺伝子であるフォスファーゲンキナーゼ(PK)遺伝子のPwPkD1Int3領域(約770bp)の塩基配列を解析した。全てのサンプルは、個体別に、Pk遺伝子ドメイン1イントロン3PwPkD1Int3(約770bp)をPCR法にて遺伝子増幅を行い、シーケンスを行なった。2倍体の集団(韓国4隻、台湾9隻、日本18隻、中国15隻)の60.87%がホモ接合体、39.13%がヘテロ接合体であった。一方、3倍体の集団(21隻)は、すべてがヘテロ接合体であった。DnaSP(ver 5.10)を用いて、ハプロタイプの種類とその頻度を求めたところ、韓国では、12、台湾では、8、日本では、19、中国では、31のハプロタイプがそれぞれ観察された。また、今回調べた、67隻のPwサンプルの中から、54種類のハプロタイプが検出され、東アジアのPw集団は、PwPkD1Int3遺伝子領域において、極めて多型的であることが、明らかとなった。一方、国別(韓国集団、台湾集団、日本集団、中国集団)集団間の遺伝的距離(φSTなど)の統計的有意検定を行なったところ、各集団間に有意な差が見出され、東アジアに生息するウエステルマン肺吸虫集団が、高度に分化していることが暗示された。今後は、インド、スリランカ、マレーシア、タイ、フィリピンの集団を本年と同様にPwPkD1Int3領域を用いて、解析を行なう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東南アジアにおける各国のPwサンプルの採集、PwPkD1Int3領域のシーケンスの解析、集団間の統計遺伝学的分析は、スムーズに行なえている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでと同様に研究は推進し、特に変更は、考えていない。ただし、タイのサンプルが少ないので、タイの共同研究者とその点について議論する。
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Causes of Carryover |
学会への参加ができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
薬品等の購入予定
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