2014 Fiscal Year Annual Research Report
ピレスロイドの空間忌避効果を利用した新しい手法によるマラリア防除試験
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26305012
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
川田 均 長崎大学, 熱帯医学研究所, 准教授 (80363480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中澤 秀介 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (20180268)
島袋 梢 長野県看護大学, 看護学部, 助教 (40735247)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | マラリア / ピレスロイド / ベッドネット / 忌避効果 / ハマダラカ / 国際情報交換(マラウイ) |
Outline of Annual Research Achievements |
1.メトフルトリンデバイスの用法用量決定のための小規模試験実施に関する打ち合わせ: 2014年7月28日~8月7日に、マラウイ大学チャンセラーカレッジに出張し、フィールド試験地の視察と試験実施のための打ち合わせを行った。試験地では、例年12月から雨期に移行し、マラリア媒介蚊の発生量が多くなり出すとの情報を得たため、小規模試験の実施は2014年12月とすることを決定した。また、種同定や殺虫試験を実施する実験室等の整備を行った。
2.メトフルトリンの小規模試験: 2014年12月5日~12月27日に、マラウイ大学チャンセラーカレッジに出張。メトフルトリンデバイスによるマラリア媒介蚊の家屋への侵入阻止効果を評価する小規模試験を実施するために、処理前のハマダラカ密度調査を実施した。当初は、この時期に雨期が始まることを予想していたが、滞在期間中全く雨が降らず、マラリア媒介蚊の採集数は極めて少なかったことから、小規模試験実施を2015年1月に延期することとした。現地のマラリア媒介蚊は、An. arabiensisが主要種で、An.funestusが小数ながらこれに次ぐことが分かった。また、採集されたAn.arabiensisの約80%の個体から熱帯熱マラリア原虫が検出され、媒介蚊のマラリア原虫陽性率が非常に高いことが明らかとなった。
2015年1月19日~3月2日に、再度マラウイに出張。処理前のハマダラカ個体数調査を再度実施した。十分な採集個体数が得られたため、計画に従って、オリセットプラス(殺虫剤含浸蚊帳)とメトフルトリンデバイスを家屋に処理し、数日後および1ヶ月後に処理後のハマダラカ個体数調査を実施した。その結果、メトフルトリンデバイス(10㎡あたり2個処理)とオリセットプラスの併設により1ヶ月後まで有意なハマダラカの侵入個体数減少効果が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画であった2014年12月に小規模試験スタートの達成は、天候の関係で延期せざるを得なかったが、1ヶ月スタート時期を遅らせて2015年1月とすることによって、小規模試験を実施することが出来た。また、結果も予想通りの成果が得られ、大規模試験に向けてのメトフルトリンの用法用量を決定することが出来た。さらに、現地のカウンターパートによって、処理2ヶ月後の個体数調査が終了しており、結果の解析は未実施ではあるが、計画通りに調査は実施できている。
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Strategy for Future Research Activity |
1.小規模試験の継続: 2015年4月にメトフルトリン処理より3ヶ月後のハマダラカ個体数調査を実施する(2015年4月末から5月末にかけてマラウイ出張予定)。小規模試験によって3ヶ月の有効期間が保証されたメトフルトリンデバイスの用法用量を大規模試験実施時の用法用量として決定する。
2.大規模フィールド試験の準備: 2015年4月から5月にかけて、大規模フィールド試験地の決定、約600軒の試験対象家屋の選択、マラリア陽性率調査のための200名の小児の選択を行い、大規模試験実施前のベースライン調査(5歳以下の小児のマラリア陽性率調査)を行う。
3.大規模フィールド試験の実施: 2015年12月~2016年1月にかけてマラウイに出張し、約600軒の家屋へのオリセットプラス配布、メトフルトリンデバイスの処理を行う。処理前および、処理後の1ヶ月後、2ヶ月後、3ヶ月後の各時期にマラリア媒介蚊の個体数調査を実施する。 2016年4月~5月に再びマラウイに出張。200名の小児を抽出し、オリセットプラスおよびメトフルトリン処理後のマラリア陽性率調査を行う。 試験結果の解析を行い、良好な結果が得られた場合は、2017年1月にメトフルトリンデバイスの再処理を実施、大規模試験継続の計画を立案することとする。
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Causes of Carryover |
当初、研究分担者のマラウイ出張を見込んで40万円の前倒し請求を行ったが、研究分担者の予定変更により、マラウイ出張を次年度に延期したために差額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究分担者のマラウイあるいは国内出張費に充当する。
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Research Products
(4 results)