2016 Fiscal Year Annual Research Report
潜在性結核の検出と、結核の発症予知技術の確立を目指した、ケニア国における調査研究
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26305017
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
松本 壮吉 新潟大学, 医歯学系, 教授 (30244073)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
阿戸 学 国立感染症研究所, 免疫部, 部長 (20392318)
濱野 真二郎 長崎大学, 熱帯医学研究所, 教授 (70294915)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アフリカ / 結核 / コレステロール / 診断 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでにケニア共和国西部のMbita地区、東部のKwale地区にて、ヘルスチェック、各種感染病原体の伝播状況を、尿、便、血液を採取し、結核菌感染との相関を解析してきた。 Mbita地区での解析で、血中コレステロールの上昇と結核菌感染(ESAT6、CFP10へのT細胞応答)が相関することを見いだした、そのメカニズムの解析を行った。ヒト血液中からHDLコレステロールとLDLコレステロールの精製系を確立し、これまで結核菌の主要な感染細胞であるマクロファージをコレステロール処理すると結核菌の感染率が上昇することを見いだした。本結果をうけて、まずマクロファージからコレステロールを除去して結核菌を感染させると、結核菌の感染率が下がることを確認した。次ぎに、結核菌がマクロファージに感染する際に利用するレセプターの発現を転写、および翻訳レベルで解析した。マンノースレセプター、補体レセプター、スカベンジャーレセプター、DC-SIGN、Toll様受容体の発現を、Real time PCRとFACSで解析した。 Kwale地区で収集した結核菌感染群(ESAT6、CFP10へのT細胞応答有り)と、非感染群(ESAT6、CFP10へのT細胞応無し)について抗体応答との相関があるかを解析した。ESAT6とCFP10を組換え蛋白質として精製し、ELISAプレートに固相化後、希釈血清と反応させ抗体価を測定し、T細胞応答との相関解析を行った。また、Kwale地区で結核菌感染群と各種感染病原体の重感染解析を行った。その結果、一部の寄生虫感染と結核菌感染が相関することを見いだした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ケニア共和国での結核菌感染調査を元に、感染リスクを特定し、そのメカニズム解析から、発症誘導因子を予測・同定することができた。熱帯医学研究所との共同で、感染症の一括診断キットの作成も進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
ケニア共和国Mbita地区とKwale地区で採取した血清サンプルについて解析を継続し、各種結核菌抗原に対するT細胞応答と抗体応答との相関に決着をつける。抗体応答で結核菌感染の検出感度が高いものに関しては、最終的な、感染症一括診断キットの作成を目指し、ELISAからマルチプレックス法への移行を図る。血清イミュノグロブリンに高い応答性を示す抗原があれば、適宜追加して査定する。 ケニア共和国における結核菌感染リスク解析で見いだしたコレステロールの役割について、さらに解析を進める。これまでコレステロール存在下における結核菌感染率の上昇や、感染時における結核菌貪食レセプターの発現を観察してきたが、感染後の細胞内寄生に対するマクロファージ応答におけるコレステロールの役割を解析する。 フィールドでの基本情報、血液や尿の生化学試験結果、各種病原体感染の調査結果と結核菌感染、さらに試験管内における結核菌感染リスクのメカニズム解析をあわせ、論文を作成する。
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Causes of Carryover |
次年度に購入すべき試薬があるため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
試薬購入。
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Research Products
(15 results)