2016 Fiscal Year Annual Research Report
アジア人固有の血栓症発症要因の病態解明と新たな予防治療戦略の確立
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26305027
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Research Institution | Nakamura Gakuen College |
Principal Investigator |
津田 博子 中村学園大学, 栄養科学部, 教授 (30180003)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
濱崎 直孝 長崎国際大学, 薬学部, 名誉教授 (00091265)
隈 博幸 長崎国際大学, 薬学部, 准教授 (40435136)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 国際学術調査 / 静脈血栓塞栓症 / 発症要因 / 予防治療戦略 / protein S / protein C |
Outline of Annual Research Achievements |
1.国際学術調査 日本、韓国、ハンガリー、シンガポールの健常者および静脈血栓塞栓症患者の解析の結果、日本人の静脈血栓塞栓症の遺伝要因であるprotein S遺伝子多型(protein S Tokushima, p.Lys196Glu)は韓国人、ハンガリー人、シンガポール人には同定しなかった。一方、protein C遺伝子多型のうちPROC c.574_576delの変異アレル保有者を韓国人、日本人の健常者のそれぞれ1.4%、0.6%に同定したが、シンガポール人にはいなかった。静脈血栓塞栓症患者の解析では、韓国人の5.5%がPROC c.574_576delの変異アレルを保有していたが、PROC c.565C>Tの変異アレル保有者はいなかった。中国系シンガポール人患者の9.5%がPROC c.574_576del、33.0%がPROC c.565C>Tの変異アレルを保有しており、韓国人や中国系シンガポール人の遺伝要因としてのprotein C遺伝子多型の重要性が示唆された。一方、ハンガリー人にはいずれのprotein C遺伝子多型も同定しなかった。ブラジルでの検体採取は終了したが倫理審査中であり、解析は平成29年度に実施予定である。 2.予防治療戦略の確立 血中protein S比活性測定系が直接トロンビン阻害薬だけでなく直接FXa阻害薬の影響を受けないことを確認し、血栓症治療薬投与中でも易血栓症状態を診断可能であることが分かった。肥満および非肥満日本人女性を対象にした解析から、血中protein S濃度がlipoprotein lipaseの補酵素であるapoC-Ⅱ濃度と強く正に相関することを明らかにした。株化ヒト肝細胞の培地中glucose濃度低下によるprotein S遺伝子発現量減少にAMP-activated protein kinaseが関与するか検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.国際学術調査 研究基盤として、血漿解析システムを長崎国際大学およびシノテスト(株)に整備、遺伝子解析システムを研究代表者の研究室および長崎国際大学に整備して、国内外の研究協力者から送付された匿名化検体を順次解析し、データベースを構築している。情報交換ネットワーク構築では、平成28年5月開催の国際血栓止血学会学術標準化委員会(ISTH-SSC)(Montpellier, France)、および平成28年10月開催のアジア太平洋血栓止血学会学術集会(Taipei, Taiwan)のCouncil meetingにて進捗状況を報告し、海外研究協力者との情報交換を行った。また、平成28年6月開催の日本血栓止血学会学術集会のプロテインS研究会シンポジウムにおいて進捗状況を報告し国内研究協力者との情報交換を行った。平成29年1月に日本血栓止血学会SSC委員会シンポジウムを開催し、特発性血栓症(遺伝性血栓性素因による)の指定難病認定について報告し、周知を図った。 2. 予防治療戦略確立 株化ヒト肝細胞のprotein S遺伝子発現に影響を及ぼす食事因子を探索したところ、培地中のglucose濃度により制御されることが明らかとなり、AMPKの関与について検討中である。また、中村学園大学健康増進センターで健康診断を実施した血栓症を発症していない肥満女性と非肥満若年成人女性の調査結果の解析から、血中protein S濃度がapoC-Ⅱ濃度と強く正に相関することを明らかにし、論文投稿中である。 長崎国際大学において、近年静脈血栓塞栓症の治療・再発抑制に用いられているにFⅡaやFXaを直接阻害する経口抗凝固薬(direct oral anticoagulants, DOACs)による血中protein S比活性測定系への影響を解析し、診断精度の評価を試みている。
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Strategy for Future Research Activity |
1. 国際学術調査 平成29年度はシンガポールとブラジルの研究協力者から送付予定の検体の解析を実施し、新たな共同研究施設を追加する予定はない。平成26~28年度と同様に、国際血栓止血学会SSC委員会、日本血栓止血学会SSC委員会のそれぞれの部会、およびアジア太平洋血栓止血学会のCouncil meetingにおいて、研究の進捗状況報告と研究協力者との打ち合わせを行う予定である。研究成果を国際血栓止血学会、アジア太平洋血栓止血学会、日本血栓止血学会の学術集会で発表する。すべての解析が終了し、リスク要因の人種差についての結果がまとまった時点で、国際血栓止血学会機関紙にSSC subcommittee communicationとして報告する予定である。 2. 予防治療戦略確立 平成28年度の研究を継続する。研究成果を国際血栓止血学会、アジア太平洋血栓止血学会、日本血栓止血学会の学術集会で発表し、論文として報告する予定である。
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Causes of Carryover |
平成28年度は人件費およびその他経費が予想より減額できたため、差額相当額の基金助成金2,620,878円を平成29年度に繰り越している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度の直接経費は約262万円となる。支出の内訳としては、物品費約120万円、旅費50万円、人件費・謝金70万円、その他約22万円を計上しているが、新たな物品の購入予定はない。
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Research Products
(25 results)
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[Presentation] 中年女性における食事エネルギー摂取割合の変化と糖代謝の変化の関連2016
Author(s)
小野美咲,宮崎瞳,阿部志麿子,今井克己,岩本昌子,増田隆,森口里利子,大無田恵美,岩本華奈、五郎丸遼子,上野宏美,津田博子,中野修治
Organizer
第60回日本糖尿病学会年次学術集会
Place of Presentation
名古屋国際会議場
Year and Date
2016-05-19