2015 Fiscal Year Annual Research Report
超高齢期の幸福感と寿命における社会関係・社会参加の影響に関する研究
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26310107
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
高山 緑 慶應義塾大学, 理工学部, 教授 (10308025)
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Project Period (FY) |
2014-07-18 – 2019-03-31
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Keywords | 社会系心理学 / well-being / 健康寿命 / ソーシャルキャピタル / 社会関係 |
Outline of Annual Research Achievements |
多くの人が長命な人生を送ることができるようになった現在、健康寿命を延伸すること、そして一人一人の高齢者が最期まで尊厳をもち、幸福感(well-being)を感じて生きることができる社会をつくることの重要性がより高まっている。そこには心理的要因、社会的要因が広く、深く関与することが予想されるが、未だ充分に検討されていない。 本研究課題では、後期高齢期、超高齢期における社会関係、社会参加活動の変化を明らかにするとともに、健康、well-beingを予測する心理的要因、社会的要因を解明することを目的としている。特に、社会的要因において、社会関係、社会参加活動をはじめ、地域とのつながりや地域環境などソーシャル・キャピタルも検討する点に特徴がある。第2に、従来の社会関係に関する研究では充分に取り上げられて来なかった、高齢者の「こころの中での他者との関係性」についても取り上げているところに、もうひとつの特徴がある。 研究期間の2年目にあたる平成27年度は、初年度に実施した第1回パネル調査のデータ解析から、高齢者・超高齢者の健康とwell-beingとの関係が明らかになった社会参加活動、家庭内役割、およびコンパニオンシップに特に焦点をあて、(1) 高齢期から超高齢期における社会参加活動の変容過程とその要因、(2) 高齢期から超高齢期における家庭内役割の実態、(3) 高齢期から超高齢期におけるコンパニオンシップの実態について、より具体的かつ詳細に明らかにするとともに、それらと健康、well-beingとの関係を検討するために、インタビュー調査を実施した。インタビュー調査は、第1回パネル調査参加者の中から43名に実施した。 また、第1回パネル調査のデータをもとに地域とのつながり、コミュニティ感覚、ソーシャル・キャピタルなど社会的要因と健康やwell-beingの関係性について解析を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題では、後期高齢期、超高齢期における、健康、well-beingを予測する心理的要因、社会的要因を解明することを目的としている。(1)後期高齢期から超高齢期にかけて、社会関係や社会参加活動など、社会変数の変動・維持を追跡し、その変化のプロセスを明らかにするともに、(2)社会関係、社会参加活動をはじめ、地域とのつながりや地域環境などソーシャル・キャピタルにも着目し, 後期高齢期、超高齢期の健康、寿命、well-being に社会的要因や心理的要因が与える影響を明らかにする、さらに(3)外出や様々な活動に身体的・認知的な制約が働きやすい超高齢者が、心身の状態の変化に合わせながら、いかに社会関係の在り方や社会参加の形態を変えつつ、社会(他者)との関わりを維持しているか/できなくなっているか、そして(4)社会(他者)とのつながりが超高齢者のLife(生命と生活)にとって本質的にどのような意味・意義をもっているのかを明らかにしていくことを目的としている。 当初の計画どおり、初年度(平成26年度)には約900名の後期高齢者、超高齢者を対象にパネル調査を実施し、データ解析を行った。平成27年度は、パネル調査のデータ解析の結果も反映させつつ、当初の研究計画通り質的調査を行った。平成28年度は、第2回パネル調査を実施する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題では、「現在までの進捗状況」で言及した目的を達成するために、研究期間を通じて、以下の4つのプロジェクト、1)「維持・変動」プロジェクト、2)「Well-beingと健康・寿命」プロジェクト、3)「変容プロセス」プロジェクト、4)「社会(他者)の意味」プロジェクトを遂行していく。 平成28年度は第1に、平成26年に実施した第1回パネル調査の追跡調査(第2回パネル調査)を実施する(「維持・変動」プロジェクト、「Well-beingと健康・寿命」プロジェクトに関連)。第1回調査では、川崎市と慶應義塾大学との協定のもと、川崎市、川崎市中原区の協力を得て、調査対象者を住民基本台帳から層化二段抽出法により抽出した75±1歳、80±1歳、85±1歳の高齢者約2000名に協力依頼し、873名の参加を得た。今回は、本調査協力者873名を対象に2年後の追跡調査を行い、この2年間で、対象者の身体的機能、健康状態をはじめ、社会関係、社会参加、地域とのつながりなど社会変数がどのように変化したかを明らかにする。また、健康、well-beingに対する心理的要因、社会的要因の影響について検討するとともに、その影響のメカニズムに関して、年齢群(75±1歳、80±1歳、85±1歳)による相違(年齢群差)や、個人による相違(個人差)についても検討する。 第2に、平成28年度は、平成27年度に実施した「変容プロセス」プロジェクト、「社会(他者)の意味」プロジェクトでの、インタビュー調査から得られた質的データをさらに深く検討し、高齢者にとって重要な他者とのつながりや、地域社会とのつながりが高齢者自身にとって本質的にどのような意味・意義をもつのかを明らかにしていく。 これらの結果は日本発達心理学会(4月)、国際心理学会(7月)、米国老年学会(11月)において、順次発表をしていく予定である。
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Causes of Carryover |
インタビュー調査協力者が多くなったことから、当初予定していた期間より、業者へ依頼したインタビュー録音内容の書き起こしに日数が必要となり、平成27年度末(平成28年3月末)までに納品されたが、支払いは翌月(平成28年度)になったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
既に平成27年度末に納品されている、インタビュー録音の書き起こし料として支出する予定である。
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[Journal Article] Carotid atherosclerosis, cytomegalovirus infection, and cognitive decline in the very old: a community-based prospective cohort study2016
Author(s)
Kawasaki, M., Arai, Y., Takayama, M., Hirata, T., Takayama, M., Abe, Y., Niimura, H., Mimura, M., Takebayashi, T., Hirose, N.
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Journal Title
Age (Dordr)
Volume: 38
Pages: 29
DOI
Peer Reviewed
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