2015 Fiscal Year Annual Research Report
担子菌類-植物共生メカニズムの解明及び劣悪環境下における食糧生産への応用
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26310306
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
平井 浩文 静岡大学, 農学部, 教授 (70322138)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菅 敏幸 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (10221904)
鈴木 智大 宇都宮大学, 学内共同利用施設等, 准教授 (10649601)
切岩 祥和 静岡大学, 農学部, 准教授 (50303540)
一家 崇志 静岡大学, 農学部, 助教 (90580647)
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Project Period (FY) |
2014-07-18 – 2017-03-31
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Keywords | 微生物 / 食糧生産 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1) 担子菌類-植物共生メカニズムの解析 本年度は、シバ(根)から分泌されるある成分により、コムラサキシメジによるフェアリー化合物(FCs)の生産が始まると仮定して、実験を行った。まず、シバの大量培養を行い、培地を液液分配により分画し、コムラサキシメジによるAHX産生に及ぼす各画分の影響を観察した結果、ブタノール可溶部に弱いながら誘導活性が認められた。さらに、シバの根を取得し、根を凍結乾燥した後、有機溶媒可溶部を取得し、同様に試験した結果、メタノール可溶部にAHX産生誘導活性が認められた。 (2) 劣悪環境下における食糧生産技術構築 劣悪環境下におけるFCsによる成長活性効果について検討するため、トマトを異常高温に1日遭遇させる栽培試験を行った。その結果、処理中の最高気温は48.8℃に達し、上位葉では葉が縮れる高温障害を発症した。また、多くの果実は褐変し、特に肥大初期~中期の果実で多かった。褐変した果実を除いた第2果房の可販果収量は、AHXを定植時に施用した処理区でのみ有意に増加した。施設栽培においてこのような劣悪環境の発生はまれであるが、異常気象に伴う停電や装置の不具合により起こることもあり、FCsのような成長活性効果の利用は、万が一の劣悪環境の発生下でも商品価値のある果実を生産する可能性が示唆された。 またイネについては、ストレス耐性試験に用いるためのイネコアコレクション(119品種)の種子増殖を水田で行い、数品種を除き十分量を確保した。寒天培地を用いて発芽率を指標とした予備的な塩ストレス耐性試験を行い、品種間差があることを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
担子菌類-植物共生メカニズムの解析については、FCs産生を誘導する画分を取得したので、本年度、その化合物を同定することで、共生メカニズムを考察可能である。 また劣悪環境下における食糧生産技術構築についても予定通り進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
担子菌類-植物共生メカニズムの解析については、FCs産生を誘導する化合物を同定することで、その共生関係を明らかにする。 また劣悪環境下における食糧生産技術構築については、FCsの施用方法も含め、研究を予定通り遂行する。
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Causes of Carryover |
少額の残額が発生したが基金の制度を活かし、無理な執行はしないこととし た。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
H28年度分と合算して使用する予定。
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