2014 Fiscal Year Research-status Report
線形計画問題の大域的構造に基づくピボットアルゴリズムの開発
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26330002
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
森山 園子 日本大学, 文理学部, 准教授 (20361537)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 線形計画問題 / 多面体理論 |
Outline of Annual Research Achievements |
線形計画問題(LP)の解法の1つに,1947年にDantzigにより提案された単体法を始祖とするピボットアルゴリズムがある。多項式時間を達成するピボットアルゴリズムの存在の解明はLPにおける重要な未解決問題である。ピボットアルゴリズムは,制約条件が記述する多面体の頂点に最適解が現れるという性質に基づき,目的関数値を改善する方向に多面体の頂点をたどって最適解を見つける手法である。従来のピボットアルゴリズムでは,次に進む頂点の選択の際に使用する情報は元の頂点に隣接する局所構造のみで,LPに内在する多面体構造という大域的構造を考慮していなかった。制約条件が記述する多面体上にピボットアルゴリズムの振る舞いを記述した有向グラフを「LPグラフ」という。本研究では,LPの大域的構造としてのLPグラフの重要性に着目し,この大域的構造に基づく多項式時間ピボットアルゴリズムの構築を目指す。 今年度は,マトロイド理論を用いてLPグラフの列挙法を構築することを目指した。LPグラフの列挙は,特定の構造を持つ有向マトロイド(OM)の列挙法構築と類似した構造を持つOM集合の実現可能性の判定法構築の2つに分けられる。OMは一般的に数が多く直接の列挙が難しいことから,OM集合をまとめて記述するマトロイドを通じたOM集合の列挙を目指し,マトロイドとOMの間をつなぐ向き付け可能性について研究を進めた。マトロイドにはOMを構成できない向き付け不可能なマトロイドが存在する。ランクを3に限定しても7以上の任意の要素数で向きづけ不可能なマトロイドが存在することを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,当初の計画予定どおり,「有向マトロイド(OM)理論を用いてLPグラフの列挙法」を構築することを目指した。LPグラフの列挙は,特定の構造を持つOMの列挙法構築と類似した構造を持つOM集合の実現可能性の判定法構築の2つに分けられる。OMは一般的に数が多く直接の列挙が難しいことから,OM集合をまとめて記述するマトロイドを通じたOM集合の列挙を目指し,マトロイドとOMの間をつなぐ向き付け可能性について研究を進めた。マトロイドにはOMを構成できない向き付け不可能なマトロイドが存在する。ランクを3に限定しても7以上の任意の要素数で向きづけ不可能なマトロイドが存在することを示した。本結果はOMを構成するマトロイドの数がマトロイド集合そのものよ本質的に小さいことを示しており,マトロイドを通じたOM列挙の実現に大きな可能性を与えるものであることから,研究は順調に進行しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度以降は,今年度の研究成果を元にマトロイドを通じたOM列挙法の構築を進める。更に,OM列挙を通じて多面体を列挙し,その多面体上でLPグラフを列挙することを目指す。同時に,LPグラフの理論的性質についても解析を進め,LPの大域的構造に基づくピボットアルゴリズムの開発に挑む。
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Causes of Carryover |
平成26年7月に招待講演のため渡航したアメリカ出張の旅費が予定していた金額を下回ったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度予定している国内出張および海外出張での執行を予定している。
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