2015 Fiscal Year Research-status Report
データ圧縮法CSEを核とする圧縮情報処理基盤技術の再組織化
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26330005
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
横尾 英俊 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (70134153)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 情報理論 / データ圧縮 / CSE / ユニバーサル符号 / エントロピー符号 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,部分列数え上げデータ圧縮法(Compression by Substring Enumeration: CSE)と呼ばれるユニバーサルデータ圧縮法とその周辺領域の体系化を目指している。CSE法は,対象データに含まれる部分列数の列挙を基礎とする,従来にない概念に基づくユニバーサル符号である。本研究で開発した実現法は,従来の木構造のかわりに配列を利用する符号化法であり,これまででは不可能だった長大なデータに対する圧縮実験を可能にした。この成果は,多様なデータに対する実験結果とともに電子情報通信学会の英文論文誌において発表した。さらに,新規実現法を発展させ,既に提案されているフェーズ導入法の検証を行った。ただし,これらはすべてモデルの性能と呼ばれる理想的な圧縮性能での評価である。CSE法の実用化のためには,CSE法のモデルに組み合わせる実際の符号化法が必要である。本研究では,そのような符号化法の候補として,ABS/ANS と呼ばれるエントロピー符号化法の理論解析を行った。特に,ABS/ANS の状態の定常分布に対する近似分布を提案し,それが真の分布に漸近することを証明した。これを応用することで,これまで明確にされていなかった,ABS/ANS の圧縮性能のエントロピーへの収束を示すことができる。今後は,ABS/ANS の実際的な性能を検証することで,CSE法への導入可能性を明らかにする計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の核であるCSE法そのものについては主たる考察を完了しているので,符号化部分の実現法に移行していたところ,ABS/ANSの解析において,予想以上の進捗がみられた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の核であるCSE法そのものについては主たる考察を完了しているので,符号化部分の総合的なまとめを行う。多元アルファベットを対象とする確定的決定文脈計算法を実装し,実データでの検証を行う。さらに,ABS/ANSを実装し,種々のモデルとの組合せによって,その動作確認および性能の検証を実施する。
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Causes of Carryover |
年度末から年度をまたいで開催された国際会議への出張旅費が次年度使用額から執行されることになったことが第一の理由である。さらに,購入を予定していたパーソナルコンピュータの予定価格が当初想定を上回ったため,次年度購入に切り替えたことが第二の理由である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
年度末の国際会議の出張旅費については執行済みであり,次年度購入に切り替えたパーソナルコンピュータについては,次年度の使用可能額と合算して購入する予定である。
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