2016 Fiscal Year Research-status Report
長大系列データ処理のためのアルゴリズム設計技法に関する研究
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26330010
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
藤戸 敏弘 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (00271073)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
藤原 洋志 信州大学, 学術研究院工学系, 准教授 (80434893)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 辺支配集合 / 多重辺支配集合 / 連結辺支配集合 / 分散アルゴリズム / 頂点被覆 |
Outline of Annual Research Achievements |
グラフGの辺支配集合とは,G内の任意の辺を支配する辺を一つは含む辺部分集合のことであり,よく知られた支配集合が頂点による頂点の支配であるのに対し,辺による辺の支配を表す.辺支配集合問題EDSとは,入力グラフにおける最小辺支配集合を計算する問題であるが,NP困難であることが知られている. 1,ポート番号のみを有する匿名ネットワーク上で定数時間で動作する分散アルゴリズムを特にローカル・アルゴリズムという.本研究では,EDSの多重支配版であるb-EDS問題,ならびに頂点被覆問題にクラスター特性を付加したt-TVC問題に対し,ローカル・近似アルゴリズムの設計に取り組んだ.その結果,2彩色可能グラフ上で極大マッチングを計算する既存のローカル・アルゴリズムを1回走らせることで,EDSならびに2-TVCはそれぞれ4倍および3倍近似可能であルことを示す.また,2彩色可能グラフの極大マッチングを求めるローカル・アルゴリズを2回走らせることで,2-EDSならびに3-TVCがそれぞれ2倍及び3倍近似可能であることも示した. 2.EDSには,多重支配版であるb-EDSや連結性を付加的に要求するCEDSなどの変形版があり,いずれもが2倍もしくは8/3倍近似可能であることが知られていルものの,頂点支配集合の場合と異なり,EDSをこれら異なる方向へ同時に拡張して得られるCb-EDSについては,何も知られていない.本研究では,単一のアルゴリズムにより,2-EDSならびにC2-EDSのどちらをも同時に2倍近似可能であることを示す.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は,長大系列データ処理のためのアルゴリズムとして,主に辺支配集合の変形版・拡張版である問題について,定数時間分散アルゴリズムを含む近似アルゴリズムの設計ならびに性能解析を中心として研究を進めており,その結果「研究実績」に挙げられるような成果が得られている.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度以降も引き続き,28年度の理論研究成果を発展させつつ, ・数理計画法に基づく系統的設計法の開発 ・近似アルゴリズムの基本技法や確率的ラウンディング法など,他の汎用テクニックの有効性についての検証 などのテーマにも取り組む.
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Causes of Carryover |
28年度中に,グラフの制限次数除去問題や連結パス頂点被覆問題に対する近似アルゴリズムの設計および性能解析を完了し,その結果をもとに国際会議で発表する予定であったが,解析結果の最終確認と論文発表の取りまとめに予想以上に手間取り,年度内に論文投稿から学会発表までを実施することが難しくなったため,未使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記研究成果のうち,制限次数除去問題に関するものは昨年度中に投稿・採択済みであり,今年5月に国際会議で発表する予定である.また,連結パス頂点被覆問題に関する成果についても,29年度の早い時期に論文投稿を行い,年度内に国際会議で発表する予定であり,未使用額はこれら国際会議への参加経費に充てることとしたい.
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Research Products
(7 results)