2015 Fiscal Year Research-status Report
制約充足問題に対する効率の良い厳密および近似アルゴリズムの研究
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26330011
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
玉置 卓 京都大学, 情報学研究科, 助教 (40432413)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 厳密アルゴリズム / 近似アルゴリズム / 計算困難 / 制約充足問題 / 充足可能性問題 |
Outline of Annual Research Achievements |
制約充足問題は様々な分野に現れる普遍的な組合せ問題である.一般的な制約充足問題に対する効率的なアルゴリズムは存在しないと考えられている.そのような計算困難問題に対するアルゴリズムを設計するためのアプローチとして,特殊な問題にのみ動くアルゴリズム,厳密アルゴリズム,近似アルゴリズムがある.これら3種類のアプローチは従来ほとんど独立に研究されてきた.本課題では,3種類のアプローチを融合することで,制約充足問題に対する,より効率の良い厳密および近似アルゴリズムの設計とその解析を行うことを目的とする.制約充足問題の個々のクラスに対するアルゴリズムの開発を行うことで得られた知見を生かし,広範なクラスに対する汎用的なアルゴリズムを開発することが最終的な目標である.以下に本年度の主要な成果を述べる.
有限体上の多変数連立代数方程式を効率よく解くことは,暗号および数式処理など様々な分野における基本的な課題である.GF(2)上でそれぞれの多項式の次数が高々2の場合ですら解を求めることはNP困難であり,nを変数の個数とした場合,最悪時の時間計算量が (自明な上界である) 2のn乗より小さいアルゴリズムは知られていなかった.本研究では,GF(q)上でそれぞれの多項式の次数が高々dの場合に,最悪時間計算量がおよそqの{(1-1/d)n}乗であるアルゴリズムを与えた.これは,自明な上界と比較すると指数的な改良になっている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
論理回路の充足可能性問題に対する厳密アルゴリズムの研究が進展した.研究実績の概要で挙げた結果以外にも (1) 重み付き対称素子を含む定数段数回路, (2) 2段線形閾値回路, (3) 制限のない回路, に対する新しい結果を得た.これらの結果はすべて論文のまとめて国際会議に投稿済みである.
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要および現在までの進捗状況で述べた以外にも,回路の充足可能性問題に対する厳密アルゴリズムの新しい結果を得ている.これらを速やかに論文にまとめて投稿する.
制約充足問題に対する近似アルゴリズムについても,系統樹を復元する問題や最大カット問題などを取り上げ研究を進めている.まとまった成果が得られれば論文を執筆して投稿する予定である.
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Causes of Carryover |
国際会議に投稿していた論文の採択結果に従って海外旅費の執行に変更が生じたこと等による.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
Highlights of Algorithms 2016等の国際会議に参加するための旅費として使用する.
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Research Products
(9 results)