2016 Fiscal Year Research-status Report
分布学習に基づく自然言語文とその意味表現の対からなる形式言語の学習に関する研究
Project/Area Number |
26330013
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
吉仲 亮 東北大学, 情報科学研究科, 准教授 (80466424)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 分布学習 / 文脈自由文法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では,文脈自由言語をアルゴリズム的に学習する技法として近年盛んに研究され成功を収めている「分布学習」とよばれるアプローチを,自然言語学習の素朴な数理モデルとしての文と意味表現の対の学習へと発展させることを目的としている. 平成28年度に得られた成果の概要は以下のとおりである. 文脈自由言語を分布学習可能にする文脈自由文法に対する条件の最も代表的な2つとして,Finite kernel property (FCP) と Finite context property (FKP) が従来提案されていたが,より厳密にはこれらの条件にはそれぞれより強い条件のものとより弱い条件のものが提案されていた.学習のためには弱い意味のもので十分であることが知られていたが,果たして文法の言語表現能力として違いをもたらすのか否かについてはわかっていなかった.この未解決問題に対して,我々は,強いFKPと弱いFKPおよび強いFCPと弱いFCPの間で表現能力に違いがあることを明らかにした.また,典型的な分布学習アルゴリズムが学習を成功させる条件について,この弱いFKPがちょうど必要十分であり,一方で,弱いFCP については更に弱めた形がちょうど必要十分条件になることを明らかにした.これらは,分布学習可能という概念の本質に迫る成果である.この成果は国際会議 Language and Automata Theory and Applications 2017 において発表された.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題における分布学習という概念の本質に関わる成果を挙げる一方で,文字列と意味表現の対に関する研究がやや停滞している.
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29年度はオブジェクト対からなる言語の学習を中心に研究をすすめ,研究をまとめる.
|
Causes of Carryover |
前年度に研究成果を招待講演として発表できたため,今年度は繰越があったものの,研究代表者の異動による環境の変化等の諸般の事情により,出張を控え,連携・協力研究者との打ち合わせや,予定していた国際会議 Algorithmic Learning Theory への参加を見送ったため,オブジェクト対に関する研究が停滞し,前年度の未使用額を含む内国および外国旅費を使用しなかったため.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
連携研究者や研究協力者との交流を増やす等,研究を加速させる.
|