2014 Fiscal Year Research-status Report
分散環境における超並列計算に対する計算限界の解明とその計算パラダイムの創出
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26330020
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
和田 幸一 法政大学, 理工学部, 教授 (90167198)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
DEFAGO Xavier 北陸先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 准教授 (70333557)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | MapReduce / 並列計算モデル / 分散計算 / 計算限界 / GPU |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は,ビッグデータ処理に適した新しい超大規模並列計算モデルの創出を念頭に置きながら,MapReduceの理論モデルの確立と計算限界の解明を行うことを目的としている.具体的には以下の通りである. (a) 従来のモデルと並列アルゴリズムの整理と検討,(b)モデルの確立と基本演算の実現,(c) MapReduceの計算限界の解明,(d)ビッグデータの特徴や耐故障性計算とモデルとの関係. 並列モデルに関しては,従来のPRAM,組合せ回路,マルチスレッドモデルを整理し,MapReduceモデルとして提案されているものを検討した.その過程で,PRAMモデルにおける計算時間とMapReduceのモデルにおけるラウンド数との間にトレードオフがあることを見出した.PRAMアルゴリズムをMapReduceで実現する場合,従来はPRAMの計算時間と同じラウンド数で実現できることが分かっていたが,メモリを少し余計に利用すれば,PRAMの計算時間をlog n(nは問題のサイズ)程度削減できることを明らかにした.この方法は,MapReduceの計算限界の解明の糸口になると思われる.また,MapReduceを分散環境で実現する場合の基礎的な考察として,分散計算における新たな故障を考慮した場合の能力や自己安定性に関する結果を導出した.さらに,MapReduceをGPU上で実現するために必要なGPUの特徴づけを行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MapReduceモデルにおける計算限界を理論的に明らかにするための準備が初年度で十分できたと思われる.従来の並列モデルと(従来の)MapReduceモデルとの計算能力のある側面を明らかにできたことによって,新しいMapReduceモデルの構築が円滑に行える.また,MapReduceをGPU上で実現するための準備も十分行うことができた.GPUの新しい理論モデルの構築も行い,GPU上で実現するための理論的な性質も明らかにしている.
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の変更は特に必要がない. MapReduceの計算能力を理論的に解明することはこれからも継続する.そのため,従来のMapReduceモデルの比較検討を詳細に行い,MapReduceの本質をとらえた新しい理論モデルを構築する.同時に,MapReduceアルゴリズムの実現に重点をおいて,特に分散環境での効率の良い実現を考慮する.
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Causes of Carryover |
次年度使用額が生じた理由は,主として成果発表が当該年度ではなく次年度に回ったことによる.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
主として成果発表を行うための旅費に使用する.
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