2015 Fiscal Year Research-status Report
グラフの幅パラメータ計算:コミットメントの理論と実用アルゴリズム開発
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26330021
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
玉木 久夫 明治大学, 理工学部, 教授 (20111354)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 木幅 / バス幅 / 木分解 / パス分解 / 整数計画法 / 固定パラメータアルゴリズム |
Outline of Annual Research Achievements |
グラフのパス幅と木幅についての研究を継続し、次の成果を得た。 バス幅については、投稿中であったO(1.89のn乗)時間でパス幅を求めるアルゴリズムの論文の査読結果に対処して改訂版を作成し提出した。この改訂版は受理され、平成28年5月に電子版が出版された。また、近準完全有向グラフに対する固定パラメータアルゴリズムを論文としてまとめ、国際会議(ESA2015)で発表するとともにジャーナル版を作成してarXivプレプリントとして発表した。その後、発表したアルゴリズムが大幅に単純化できることを見出した。発表した論文では、セパレータ連鎖という概念を用いてパス幅を定式化し直し、アルゴリズムは最適なセパレータ連鎖を求める。本質的に同等なアルゴリズムを、セパレータ連鎖を考えずに直接パス分解を求める形で定式化できることが発見の骨子である。アルゴリズム自体は、論文で対象とした特殊なグラフクラスに限らず一般の有向グラフあるいは無向グラフに適用できるものであり、計算時間の解析のみがグラフの性質に依存している。アルゴリズムが単純化されたことにより、このアルゴリズムが特に高速に動作する他のアルゴリズムクラスの探求がやりやすくなったことに意義がある。 木幅については、実用的なアルゴリズムへのさまざまなアプローチを検討した。特に、整数線形計画法による定式化を見出し、既存の定式化との比較を行った。今後、この整数線形計画の求解を高速化するための研究を継続して行く。 応用として、安定まチング問題に対する多ラウンド実行アルゴリズムのために必要な暫定マッチの最終化問題について研究し、木分解を用いた動的計画法による定式化が可能であることを示した。この結果は、全米の研修医配属システムの改良に結びつく可能性を持っっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
木幅とパス幅のアルゴリズム開発自体に関しては、既に得られていた結果についての修正や改良などに時間を要しており、計画通りには進んでいない。一方、木幅とパス幅の応用として、安定マッチングの新しいアルゴリズムという重要な副産物が出ており、総合すればおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、当初計画した木幅の実用アルゴリズムの開発を加速する。特に整数計画法と、固定パラメータアルゴリズムの融合の視点からのアプローチを重点的に加速する。安定結婚問題への応用に関しては、木分解に基づいた動的計画法アルゴリズムを実装して、大規模問題に対して実験を行う。
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Causes of Carryover |
投稿した国際会議で採録されなかったために、予定した旅費が未使用となった。また、実装実験の前段階である理論構築に予想以上の時間を要しているために、実装実験のための謝費に未使用分が出た。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
国際会議へ積極的に参加する。また、実装実験を軌道に乗せて当初予定以上の量の作業を行いそのための謝費として支出する。
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Research Products
(3 results)