2014 Fiscal Year Research-status Report
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26330026
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
中川 秀敏 一橋大学, 大学院国際企業戦略研究科, 准教授 (30361760)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
足立 高徳 立命館大学, 理工学部, 客員教授 (60733722)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 金融リスク / 圏論 / 多期間リスク尺度 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表者の中川は、国内外の研究集会等(ブリュッセル、大阪、京都)でのリスク計量に関する資料収集を行ったほか、主に外部の研究者とともに企業の信用格付変更モデルの改善に取り組んだ。1件は信用イベント(格付変更やデータ)の発生強度および市場の金融資産価格が、何らかのマクロな潜在変数に依存しているという仮定の下で、そのマクロ潜在変数を非線形フィルタリング(粒子フィルタ)で求めるための新しいモデルと手法を提示した(成果は高田英行氏との共著論文(英語)として発表された)。もう1件はトップダウンアプローチに沿って、経済全体での格付変更イベントの発生強度をセクター別の強度として割当する細分化の方法に新たなファクターを導入する形で見直し、過去データを用いた実証分析を通じてそのアイデアの可能性を見いだした。成果は現在共著論文(英語)としてまとめている段階である。 また、今後の大規模なシミュレーション実験のために、企業倒産情報に関するデータについて調査し、今後の研究上必要な分について購入し、分析用データベースの整備を開始した。 研究分担者の足立は、圏χ=χ(Ω,F)の上でのリスク尺度というアイデアをまとめた先行論文Adachi(2014)のアイデアに基づき、圏χの拡張および集合Ωを具体化してベール空間等に置き換える際の基礎的な研究を進めた。そうしたアイデアを含めて、シドニー(QMF2014)やシンガポール(NUS Workshop)の国際会議で"Toward categorical risk measure theory"というタイトルで講演し意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
圏論の勉強会や計算機環境の整備など当初計画に盛り込んでいたもので実施ができなかったものもあるが、研究代表者および研究分担者ともに実質的な研究内容においては残りの期間にもつながる一定の成果を挙げることができている。 また、これから予定しているシミュレーション実験においてはデータベースの整備が優先されるが、データについての調査が完了して実際に大量の一次データを入手できたことは大きい。
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Strategy for Future Research Activity |
現在まとめている共著論文は早い段階で公表および投稿する予定であり、口頭発表も行っていきたい。また別途手がけている社債の信用スプレッドのモデル化および数値分析についても早い段階で論文にまとめ、圏論ベースの多期間リスク尺度との融合を図りたい。 研究分担者の足立が進めている圏論ベースのリスク尺度についてのシミュレーション実験のためのデータベース整備をできるだけ早い段階で行い、ある程度の成果をまとめて欧州の国際会議で発表したいと考えている。 また、本研究課題の中間成果について報告および意見交換する場を年度内に設けたいと考えている。
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Research Products
(4 results)