2015 Fiscal Year Research-status Report
不完全観測を含む事象時間データのセミパラメトリック推測の理論的基盤と応用
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26330032
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
杉本 知之 弘前大学, 理工学研究科, 准教授 (70324829)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | セミパラメトリック / Laplace原理 / 不完全観測データ / Cox回帰モデル / セミ競合リスク / 相対生存率 / 特異値分解 / 打ち切りデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
研究目的は,Cox回帰モデルの様々な状況下での適用拡大を意図して,いくつかの不完全観測メカニズムのもとで生じる事象時間データに対するセミパラメトリック推測法の基盤理論と応用の有益な展開を創出することである. 本年度は,昨年度までに得られた統計理論と方法論に基づいて,不完全観測データを伴う事象時間データのセミパラメトリック推測法の研究を進めた.とくに,周辺部分尤度とセミパラメトリック・周辺プロフィールを尤度を結び付けるものとして重要となる,ハザード関数上の無限次元積分からなる周辺部分尤度を,Laplace原理にしたがって近似するための理論と方法の研究を行った.この研究では,通常のLaplace原理とは異なり,ガウス積分近似に対する分散項が発散するための難点があり,通常のアプローチを超えた理論的な工夫を行う必要があった.この理論を検証するために,高次元の特異値分解を必要とするモンテカルロ・シミュレーション方法を考案し,これらの理論と数値結果をまとめた.このモンテカルロ法により,周辺部分尤度のより一般的な計算原理を得ることができた. また,2変量相関構造をもつ,ノン競合リスク,セミ競合リスク,およびフル競合リスク問題での2変量ログランク統計量の性質の研究を行い,必要標本サイズ公式を導出と関係するシミュレーション研究を行った.さらに,相対生存モデルに対する予測指標として,Brierスコアの推定値を導出するための理論と方法の研究を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画のうち,予想外の問題が生じて計画を変更する部分もあったが,6割程度の内容は,概ね計画通りに進むことができた.予想外の変更を行った研究内容も,結果としては,有意義な副産物や研究の新しい方向を生むことにつながったため,全体として,おおむね順調に進展していると評価できると思われる.
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までの研究成果をより多くの人に納得した結果として提示するために,シミュレーション研究などの数値結果をまとめ,より確固たる結果にすることが重要である.理論とその数値検証を繰り返すことで,より精緻化された結果にしたいと考えている.
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Research Products
(2 results)