2014 Fiscal Year Research-status Report
証券市場におけるアノマリー現象の発生メカニズムに関する行動計量モデルの開発
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26330034
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
庄司 功 龍谷大学, 経済学部, 教授 (20282329)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | プロスペクト理論 / アノマリー現象 / dsiposition effect / 双曲型割引関数 / 指数型割引関数 |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度では、証券市場のアノマリー現象として一般的に知られているdisposition effectを、行動経済学視点から説明できるモデルの構築を試みた。 disposition effectを説明するには、Kahneman and Tversky (1979)によって提唱されたプロスペクト理論を利用することが解決策の一つとして考えられている。しかし、現在まで知られている先行研究によれば、ある研究はこれを肯定する成果を出しているものの、別の研究ではこれを否定するものもあり、現状ではプロスペクト理論がdisposition effectを説明する有力な仮説であるかどうか不明な状態である。 しかし、これらの先行研究をつぶさに見ていくと、損得に関するリスク許容度の違いを否定する研究はごく僅かであり、このリスク許容度の違いを前提としてモデルを構築する余地がある。 そこで、本研究では、証券投資から得られる収益に関して、損得によるリスク許容度の違いを示す効用関数を設定し、これを用いて将来にわたる収益の期待効用を設定した。そして、その上で、将来の効用を指数関数的に割り引く場合と双曲関数的に割り引く場合をそれぞれ考え、これらの組み合わせの中から、disposition effectを再現できるものがあるかどうかを調べることにした。 これには、期待効用を最大化するアルゴリズムを作成する必要があり、当該年度はこのアルゴリズムの開発を行った。基本的な処理ができることを確認できたので、次年度はこのアルゴリズムに基づいて、上の組み合わせの中からdisposition effectが再現できるかどうかを検討する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度は計算モデルのアルゴリズム開発を目的としていたが、その目的がほぼ達成できたので上記のように評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実績の概要にも書いたが、計算モデルのアルゴリズムがほぼ完成したので、これを用いてdisposition effectが再現できるかどうかを調べる予定である。但し、これまで実施した数値実験では、処理に時間がかかっているため、計算負荷を低減する方法、あるいは、より計算能力の高い計算機を用いることなども併せて考える必要がある。
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Causes of Carryover |
研究代表者が所属研究機関を異動したため、使用を一時的に抑えた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年以降は、負荷の高い計算を行うなどの予定があるため、これを実行するための計算能力の高い計算機や数値計算ソフトウェアなどを購入する予定であり、予定通りに使用できるものと思われる。
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