2016 Fiscal Year Research-status Report
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26330035
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
倉田 博史 東京大学, 大学院情報学環・学際情報学府, 教授 (50284237)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 多次元尺度構成法 / ユークリッド距離行列 / 非類似度行列 / 一般逆行列 / core inverse / core partial ordering |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度は2つの研究からなり、一つは非類似度行列をフロベニウスノルムの定める内積に関して直交する2つの非類似度行列の和に分解し、両者からそれぞれ異なる情報を抽出するというものである。2つの項とは、セル行列(n次元ベクトルと一対一に対応する非類似度行列)と中心化行列(行和がゼロであるような非類似度行列)である。セル行列は各個体の点配置の原点からの距離に関する情報を持ち、中心化行列は個体の相互関係に関する情報を持つ。まだ完全な形ではないが、基礎的な部分について結果を得ている。 もう一つの研究は、非類似度行列やユークリッド距離行列の逆行列や順序付けに関する申請者の一連の研究の続きである。当該年度は、一般逆行列とそれによって誘導される順序に関して一つの結果を得ることができた。当初は必ずしも対称とは限らない非類似度行列を対象にした研究であったが、得られた結果が一般の複素正方行列に対しても成立することが分かったため、発表は一般逆行列に関する研究として数学系の雑誌に投稿した。 内容は、core inverse と core partial ordering に関するものである。よく知られる通り、複素行列 A の反射型逆行列はある一般逆行列 X と Y とによって XAY と表現することができる。逆に、任意の一般逆行列 X と Y に対し XAY なる行列は反射型逆行列である。 X と Y の集合を制限することにより、ムーア・ペンローズ逆行列を表現することもできる。これに対応する結果を core inverse という一般逆行列に対して導出した。また、 core partial ordering の特徴付けに関する定理も導いた。これは既に Kurata (2016)として投稿済みである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
統計学的応用を得るために当初必要と考えた、基礎的・数学的な結果を導出することは(ほぼ順調に)進めている。しかし、それを統計学の枠組みに乗せることがやや予想していたよりも複雑であり、予定していたよりも時間がかかっている。本年度は遅れを取り戻すべく努力したい。
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 上記の「研究実績」で述べた、非類似度行列の分解に関する研究を完成させ、しかるべき専門雑誌に投稿する。 (2) 上記の「研究実績」で述べた、 core inverse と core partial ordering に関する研究を非対称非類似度行列に応用する。 (3) 次元縮約により損なわれた情報の回復方法について研究する。 これらについて結果が得られ次第、内外の研究会で発表したい。
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Causes of Carryover |
事情により、予定していた海外共同研究2件を取りやめたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究発表のための海外渡航と国内出張の予定がそれぞれ2件ある。また、図書や備品、消耗品の購入も予定している。
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