2014 Fiscal Year Research-status Report
空間データの潜在構造を表現する統計モデルの効率的な推測・選択
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26330042
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
坂本 亘 岡山大学, 環境生命科学研究科, 教授 (70304029)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 階層ベイズモデル / マルコフ確率場 / 周辺事後分布 / 疾病地図データ / モデル選択 |
Outline of Annual Research Achievements |
地図・空間上のデータに潜む複雑な構造を明らかにするために,高次元の潜在変数(観測されない変数)を伴う統計モデルを適合させる研究を行っている.環境科学データや疾病地図データを解析し,観測された現象や結果に対する原因を解明することにより,環境・生命科学の諸問題の解決に寄与することを目指している.具体的には,潜在Gaussモデル,さらにその推測と選択を行うための階層Bayesモデルを構築する.潜在変数間の従属関係を表すモデルの複雑さをデータに基づいて制御することが鍵となる.以下,本年度に研究した内容を列挙する. (1) 潜在Gaussモデルの推測で用いられる積分入れ子型Laplace近似(INLA)法について,理論および計算手法の調査を行った.さらに,ソフトウェア R の INLA を実装したパッケージを用いて,地図上のデータへの適用を試み,その性能を評価した.推定された潜在構造に基づいて,地図上の疾病の集積性(起こりやすさ)や,喫煙のような共変量効果を提示するのに有用であることが分かった. (2) 潜在変数間の従属関係を表すモデルに対する事前分布として,ネットワーク理論で用いられるランダム・グラフの導入を検討した.ランダム・グラフでは,変数間の関連,すなわちグラフの頂点同士が辺で結ばれているかどうかが確率的に選択される.そこで,変数間の関連の強さを制御するためのパラメータを導入し,平滑化法などで研究されている複雑度パラメータの推定方法を応用することを検討した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
INLA を実装した R のパッケージの解明に時間を要したため,ランダム・グラフを事前分布に組み入れたモデリングの計算プログラムの実装が予定より遅れ,26年度中に達成することができなかった.
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Strategy for Future Research Activity |
提案するランダム・グラフを事前分布に組み入れた階層 Bayes モデルの計算プログラムを実装し,提案手法の性能評価を行う.R のパッケージに収録されているデータへの適用や,類似の状況設定のもとでのシミュレーションを試みる.
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Causes of Carryover |
潜在Gauss型モデルを主題として海外で開かれている研究会への参加を目指していたが,学内業務の都合で参加できなかった.結局,外国旅費として使用する機会が得られず,残額を次年度に持ち越すこととなった.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
27年度には上記理由で述べた研究会への参加や,国際会議への参加を行う計画である.
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