2015 Fiscal Year Research-status Report
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26330045
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Research Institution | Oita University |
Principal Investigator |
江島 伸興 大分大学, 医学部, 教授 (20203630)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
徳丸 治 大分大学, 福祉健康科学部, 教授 (40360151)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | インフルエンザ / RSウイルス感染症 / 小児感染症 / 一般化線型モデル / パス解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
インフルエンザ患者数(正確には定点医療機関受信者数)と地域、気象条件などとの因果関係の分析のための(i)パス解析法の理論研究と(ii)インフルエンザ型同士およびRSウイルス感染症の発生との関連性を国立感染症研究所からの公開データに基づいた統計分析を行った。(i)については線形回帰モデルを含む一般化線型モデル(Generakized Linear Models; GLMs) の再帰的システムに関するパス解析法を考究した。まずGLMsの性質について考察し、GLMsにおける説明変数の効果を、オッズ比で表現できることを明らかにした。その上で、対数オッズ比がシャノン情報の変化を表していることを示した。この観点から説明変数が応答変数に与える全効果(total effect)を定義し、全効果を対象とする説明変数の直接効果と他の説明変数を経由する間接効果に分解する方法を提唱した。この分析法は誤差が非正規および応答変数がカテゴリ変数である場合を念頭に開発した分析法であるが、特に応答変数がカテゴリの場合はカテゴリ数の増加に対して、パス分析は複雑さを増加させる。このためにその効果を要約するために、平均効果を提唱し、平均全効果、平均直接効果および平均間接効果がカルバック・ライブラー情報で表現できることを示した。数値例を用いた実証例も例示した。(ii)では2009年の新型インフルエンザ流行時の感染症データの統計解析を行い、互いの干渉について現在まとめている。世界的な共通現象として、新型インフル流行がRSウイルス感染症流行を遅らたことが報告され、本邦でも同様であることを解析した。さらに、本邦は北海道から沖縄まで南北に長く、その流行の多様性についての解析も行い、インフルとRSウイルス感染症の相互干渉現象を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
二年間の研究で応答変数と説明変数の因果関係を分析するパス解析法が提唱でき、Eshima et al. (Entropy 2015, 17(7), 5117-5132; doi:10.3390/e17075117)に発表できたこと、およびインフルエンザ型と他の感染症との干渉関係の統計解析を終え、論文として執筆中であることから、研究計画の進捗を概ね良好と判断している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までのパス解析法は変数システムの因果の順序が存在する条件で研究を行った。インフルエンザデータ解析のためには、因果関係においてその順序が同時と考えられる場合もあり、連関関係の分析を要する解析方法の開発へ研究を進める。また、インフルデータについては性年齢の影響を細かに分析比較することを目標としている。また、免疫面では母乳に含まれているラクトフェリンの感染への影響を調べるために、他の感染症、例えばHTLV-1の感染現象を調べることで間接的な議論を行うことにしている。この研究は微生物学の専門家との共同研究で進める。
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Research Products
(2 results)