2014 Fiscal Year Research-status Report
言語独立・ハッシュ値・行粒度の追跡子による,ソフトウェア追跡性の高精度な確保
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26330077
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
権藤 克彦 東京工業大学, 学術国際情報センター, 教授 (50262283)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ソフトウェア保守 / ソフトウェア追跡性 / 追跡子 / ハッシュ値 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は言語独立・ハッシュ値・行粒度の追跡子をソフトウェア的に実現し,ソフトウェアの追跡性を高精度の確保することである. そのために初年度である今年度はより詳細な既存技術・既存研究の調査を行った.具体的には(知覚困難型)電子透かし,ステガノグラフィー,暗号の署名技術,ハッシュ応用技術,QRコードなどのカラーコード技術などである. またファイルハッシュ値とエディタへの追跡子機能のプロトタイプの設計実装をEmacs上で行った.被参照ファイル全体のハッシュ値を計算し,参照ファイルに対して,secondary-selectionをフックして追跡子文字列を追加し,かつその追跡子を非表示可能にする実装を行った. また本研究から派生して,商用コンパイラの警告メッセージの初心者への難しさの研究も行い成果を上げた.例えば,予備実験において警告メッセージの約三分の一が初心者には分かりにくいという知見を得た.この研究では警告メッセージが持つべき性質(明瞭性,特定性など)について議論しており,この成果は本研究の追跡子に埋め込むべき情報の表現の実装に大いに役立つ.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ファイルハッシュ値を埋め込むというアイデア自体は自然で強力だが,細かい作り込みの部分で最適なソリューションを見いだすのに時間がかかっている.例えば,被参照ファイルが書き込み可能では無い場合(例えば,Web上のページの場合),そのファイルにファイルハッシュ値を書き込めない.その場合に,全世界で唯一のグローバルなデータベースを仮定して,そこにファイル内容とハッシュ値のペアを置くべきなのか,それとも既存のリポジトリ(GitHubなど)を使うべきなのか,被参照ファイルには埋め込まない方法を模索するべきなのか,様々な可能性を考慮して時間を使ってしまった.
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Strategy for Future Research Activity |
ファイルハッシュ値を埋め込むという基本的なアイデアは変更せず,研究の方向性は大きくは修正せず,現状の追跡子の実装を(あまり手を広げすぎないように注意しつつ)着実に進めていく.
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Causes of Carryover |
当該年度はプロトタイプを作成したが,学会発表ができるレベルには達成せず,予定していた旅費を次年度に使うこととしたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当該年度に予定していた学会発表を次年度に行う.その他の部分は当初の使用計画通りの執行を予定する.
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