2015 Fiscal Year Research-status Report
安全かつ迅速なデータ復旧を可能にする遠隔バックアップ相互保持システムの開発
Project/Area Number |
26330087
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
天野 浩文 九州大学, 情報基盤研究開発センター, 准教授 (80231992)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | バックアップ / ストレージ仮想化 / 秘密分散法 / iSCSI / オンデマンド再構築 / バックグラウンド再構築 |
Outline of Annual Research Achievements |
大規模災害の際に重要な情報が失われるのを回避するためには,遠隔地にバックアップデータを保存することが不可欠である.しかし,個々の組織が個別に遠隔地のバックアップ先を確保するのは容易でないため,同じようなミッションを持ち広域に分散して立地する複数の組織が相互にバックアップを保持することが有効である.ただし,バックアップの保存先で秘密が漏洩することも防止しなければならない.これまでの研究により,ストレージ仮想化技術(iSCSI)を活用すると多種多様なOSやアプリケーションを変更することなく利用可能なバックアップシステムが実現できること,および,秘密分散法を用いると複数の組織が互いの秘密を保持したまま大規模災害に備えて安全にバックアップを相互保持できることがわかっている. 本研究では,秘密分散法を用いて保存されたバックアップデータが遠隔地に存在する状況で,安全かつ迅速にサービスを再開させるために,失われた原データ全体を復元せずともサービスを再開させることのできる遠隔バックアップ相互保持システムを開発することを目指している. このようなシステムを実現するため,平成27年度には,以下のような成果を得た. (1) 失われたボリュームへのアクセス要求が発生すると,その都度,遠隔バックアップから当該ブロックを復元して提供するオンデマンド再構築機能を実装した. (2) 上記の再構築の負荷が生じていない時間を利用して,復元の完了していないブロックを順次復元していくバックグラウンド再構築機能を実装した. (3) 上記2つの処理の間の排他制御機構を実現した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度の研究の目的は,オンデマンド再構築とバックグラウンド再構築の間の排他制御を行いつつ迅速なデータ復旧を可能にする遠隔バックアップ相互保持システムを試作することであった. オンデマンド再構築機能とバックグラウンド再構築機能,ならびに両者の間の排他制御機構を実現することができたため,当初の計画通りおおむね順調に進展していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
平成27年度までの成果をもとに,安全かつ迅速なデータ復旧を可能にする遠隔バックアップ相互保持システムの性能評価および改良を進める. 性能評価に当たっては,人工的に合成した単純なアクセス負荷だけではなく,実際のディスクに対するアクセストレースを再現したような負荷に対する計測を行うことで,現実的な使用環境における性能も計測する.
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Causes of Carryover |
既存の物品を活用したり,九州大学が保有するキャンパスクラウドシステムを利用したりすることによって,「物品費」を削減することができた.一方,「旅費」についても,当初計画よりもやや少なめに抑えることができた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度である平成28年度においては,成果の公開のための出張の増加が予想される.また,これまで活用してきた既存の物品の老朽化も懸念される.そこで,平成27年度に生じた未使用額は,「物品費」および「旅費」に充当することとしたい.
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