2015 Fiscal Year Research-status Report
無線センサネットワークにおけるセンサノードの省電力化に関する研究
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26330106
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Research Institution | Kyushu Institute of Technology |
Principal Investigator |
山脇 彰 九州工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (10325574)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | センサネットワーク / 待機電力 / 起電力 / ドアモニタ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,無線センサネットワーク (WSN) において,待機電力のゼロ化と,適応型起動によるセンサノードの省電力化を図り,WSNの更なる普及と,日本発の新しいセンサノードを世界へ発信することが目的である. 提案センサノードは待機時に,完全に電源が切れた仮死状態となり,待機状態を保持するための消費電流がゼロになる.提案センサノードは,起動用センサに与えられた刺激によって発生した起電力によって仮死状態から復活し,バッテリからの安定かつ十分な電力によってWSNを安定動作させ,動作完了後に再び仮死状態に遷移する. H27年度では,提案センサノードを用いた実際のWSNを構築し,適切な性能で動作可能か確認することが目的であった.そこで,ドアの開閉状況をモニタリングするWSNを想定し,起動用センサにピエゾフィルムを,ドアの開閉を検出するセンサに磁気センサを用いたセンサノードを開発した.ドアの開閉によってピエゾ素子が弾かれ,発生した起電力によって仮死状態のセンサノードが復活する.ドアに付けられた磁石の有/無によって,ドアの閉/開を判断し,基地局に通知する. 待機時に,無電力な提案センサノードは,待機用電力が供給される従来センサノードよりも,起動時間が長いことが予想され,その遅延が性能に悪影響を与えうる.上記の試作WSNにおいて,正しい動作を確認するとともに,提案センサノードの起動時間は約350msであり,その遅延が許される応用,例えば今回のドアモニタシステムなどでは問題ないことを確認した.また,提案センサノードは,無電力の仮死状態から起動するため,起動時に流れる貫通電流が従来センサノードよりも大きく,動作時の消費電流が約1%増加した.ただ,従来ノードが待機状態の維持に消費するuAオーダーの電流を,提案ノードは仮死状態で0に削減でき,バッテリ寿命を大幅に伸長できる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
提案センサノードを用いてWSNが構築可能かどうかを明らかにする大きな目標は達成できた.H28年度は,いくつかのWSNの応用への適用を通して,性能や消費電力を評価することが目的である.H27年度に,その第一歩としてドアモニタシステムを構築できたことは,次年度の研究開発の推進につながる. ただ,FPGAと組み合わせたハードウェアの切り替えによるセンサノードの更なる低消費電力・高性能化に関する研究開発は,まだ,ノード単体での動作確認にとどまっている.
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Strategy for Future Research Activity |
H27年度に実施したWSNの構築実績をもとに,インフラモニタリング,ホームセキュリティなどの,より大規模で高機能な応用を開発する.これらの応用への適用と合わせてFPGAを活用したセンサノードの開発に本格的に取り組む.例えば,センサデータの情報処理回路と暗号化回路の動的切り替えや,カメラセンサノードを実現するための画像処理回路の動的切り替えなどを考えている.
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Research Products
(3 results)