2016 Fiscal Year Research-status Report
位置と接触の履歴情報を用いた遅延耐性ネットワークの経路制御技術
Project/Area Number |
26330107
|
Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
北須賀 輝明 広島大学, 工学研究院, 准教授 (70343332)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | モバイルネットワーク / 遅延耐性ネットワーク / 接触履歴 / 位置情報 / 小直径グラフ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,インターネット接続環境の整備が遅れている地域や,低コストな通信基盤の需要がある地域で遅延耐性ネットワーク(DTN)が利用されやすくなるように,DTNの経路制御技術を研究している. 本年度は,あらかじめ定めた予定に従う周期的な接触を利用したDTNの経路制御技術について検討を進めた.ただし研究成果の発表には至っていない.接触とは,二人以上のユーザの所有するデバイスが,Wi-Fi DirectやBluetoothなどで直接通信できる程度に近くにある状態をいう.検討している内容は,送信時点で受信者までの経路を確定するソースルーティング方式であり,受信者に送信データが到着する確率が一定値を上回る時刻を送信時点で予測する方法である.データの複製数に制約を与えることによって,Spray and Wait方式と同様に無線や電力,ストレージなどの資源の利用を抑えられると期待している.日常生活での利用者間の接触パターンから時間ごとの接触確率が得られていると仮定し,送信者から受信者に至る複数のDTN経路それぞれについて,到着時刻とその時刻までの到達確率を求める.複数の経路を組み合わせて同時に使うことで,受信者に到着する確率を十分に上げるとともに,到着時刻を予測する.この方法について次年度も引き続き検討していく. また,DTNに限定せず,より一般的なネットワークを対象として,小直径グラフに関する研究を行った.ネットワークの直径を小さくし,さらに全ノードペア間の経路長の平均を小さくするネットワーク構成法を提案した.各ノードと隣接するノードの数(次数)に制約がある場合を扱った.小直径なネットワークとして一定次数ランダムグラフがあるが,ランダムグラフより理論的な限界に近い直径と平均ホップ数のグラフを構成する経験的アルゴリズムを提案した.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
人の移動や接触の履歴を周期性や定時性の観点でモデル化すること,および到達確率の定式化に時間を要しているため,やや遅れていると評価している.
|
Strategy for Future Research Activity |
「研究実績の概要」で述べた検討中の内容について,検討の終わった部分から順次,成果発表する.日常生活での利用者間の接触パターンの抽出よりも,接触パターンを用いた複数経路の選択を優先して進めていく予定である.接触パターンのデータとして,前年度使用した大学生の講義受講に関するデータや,他の研究者らが公開している移動軌跡データを用いる.
|
Causes of Carryover |
今年度の研究成果発表や研究動向調査が予定より少なかったために次年度使用額が生じた.
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
主として,実験機材やシミュレーション用計算機の購入,研究成果発表の旅費・論文掲載料などとして使用する予定である.
|
Research Products
(3 results)