2015 Fiscal Year Research-status Report
視聴者のコンテキストを判断可能な電子看板とその実時間コンテンツ配信手法
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26330109
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
井上 博之 広島市立大学, 情報科学研究科, 准教授 (60468296)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
舟阪 淳一 広島市立大学, 情報科学研究科, 准教授 (60322377)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | コンテキストアウェア / デジタルサイネージ / P2P / 締切時刻 / コンテンツ配信 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に行ったデジタルサイネージシステムの視聴者のコンテキストの取得を行った結果により分析した視聴者の行動履歴や嗜好情報に基づきコンテンツを選択し配信する手法について,特に締切時刻の概念を導入し,視聴者が検出されてから表示されるまでの時間を事前に想定し,その時刻を締切とした.コンテンツとしてはサイズの大きな動画の表示を想定し,動画はコンテンツ全体が完成していなくとも再生が間に合うまでに各動画フレームを取得できればよく,再生タイミングを考慮して締切時刻を決めることになる.その際の端末間の配信方式としては,同一システム内の情報表示端末同士で過去に同じコンテンツが配信されている可能性があることから,端末間でコンテンツを直接配信できスケーラビリティに優れたP2P配信方式が有効であると考える.具体的には,BitTorrentをベースとした締切時刻を持つP2Pコンテンツ配信方式として複数方式の検討を行い評価を行った. また,個人の所有するスマートフォン等の携帯端末を,パーソナライズな情報表示端末として扱い,ユーザに合わせた広告コンテンツを配信する機構の検討を行った.個人の携帯端末でのネット検索の履歴情報等を利用者の能動的な行動履歴であるため,ユーザの嗜好を表すキーワードとして扱うことができ,このネット検索情報から配信するコンテンツを選択することでターゲット広告が実現可能となる.携帯端末から取得できるコンテキストの収集,および収集したコンテキストからコンテンツサーバ内にあるコンテンツを選択する機構を検討しプロトタイプの開発を行った. その他、複数の経路を同時に利用し、動画コンテンツをダウンロードしながら再生する方式を開発した。この方式により順序逆転の影響を緩和して高画質の動画が再生できる。またトランスポート層において高速にデータ配信するためPR-SCTPを利用した方式を提案し評価した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
視聴者の行動履歴や嗜好情報に基づきコンテンツを選択し配信する手法については,個人の所有するスマートフォン等の携帯端末をパーソナライズなデジタルサイネージ端末とみなす手法の検討を行った.個人の携帯端末でのネット検索の履歴情報等をユーザの嗜好を表すキーワードとして扱い,それをユーザの能動的な行動履歴として関連するコンテンツの関連度を数値化する方式の提案を行った.関連度はキーワードのF値より求め,関連度の高い広告コンテンツを選択し配信することで個人へのターゲット広告が実現できることを確認した. また,1つの動画コンテンツにおいて再生予定時間に基づくコンテンツ内の締切時刻を設定することで,その時点までの動画フレームをP2P配信方式によるピースの完成に有効な手法を複数提案し比較評価した.BitTorrent 型のP2P ライブストリーミングやVoD サービスの有効性について,デジタルサイネージのように特定のサーバに集約された情報を同一LAN 内に展開された多数の情報提示端末で共有する場合で確認するために,動画を取得しながらのスケジューリングされた再生を対象とし,均質なLAN 環境に展開された複数台の端末を不均一な性能を持つネットワークリンクを通して相互に接続したトポロジを想定し,初期シーダから提供されるピースの選択方針とネットワークリンク性能の不均一性が動画再生に与える影響を主にシミュレーション実験により調査した. その他、複数の経路を用いて動画をダウンロード再生するため、各経路に割当てるTCP接続の本数を計算し、経路ごとの性能差を吸収するために部分ファイルの要求順序を変更する方式を提案し、評価した。またPR-SCTPを用いた方式を改良し、パケットロス率の高い劣悪な環境でも高速なデータ通信を実現した。 これらの成果は,国際会議,電子情報通信学会や情報処理学会の研究会等で発表した.
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Strategy for Future Research Activity |
デジタルサイネージのような情報端末への広告コンテンツの効果的なコンテンツ選択および配信の方式について,プロトタイプシステムやシミュレーションから得られた知見を利用し,実フィールドでの評価実験などを実施する. P2Pモデルを用いたコンテンツ配信については引き続きシミュレーションとプロトタイプシステムによって評価していく。昨年度までに得られた知見を活かし、広告の表示パターンと必要なネットワーク条件の関係を明らかにし、ターゲット広告の一形態としてのデジタルサイネージシステムの有用性を確認することを目標とする。 動画コンテンツをダウンロードしながら再生する方式については、インターネットを通した実サーバからのデータ取得実験を進め、分割ファイルの到着順序制御により再生動画の品質を高く保つ技術を確立してジャーナル論文としての投稿を目指す。 また劣悪な環境においても動画再生の品質を高く保つため、トランスポート層からのアプローチとしてPR-SCTPを用いた分割ダウンロード方式の改良を引き続き進める。昨年度までに得られた知見により、トランスポート層におけるバックオフを抑えながら再生順序の早い分割ファイルを優先して取得する要点が明らかになりつつあるため、高速にデータ転送が可能で、かつ順序逆転の影響を緩和できる方式を開発し、ジャーナル投稿を目指す。 引き続き,成果を国内外の研究会や国際会議等で発表し,同時に実システムで運用するために解決すべき問題点や必要な技術について検討を行っていく.
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Causes of Carryover |
研究室のサービス用の既存のVMサーバを用いて個別VMを複数動作させる方法で予備実験をしたところ安定したコンテンツ配信の結果が得られないことが分かったため,高価なVM用サーバを購入予定だったところを,複数台の低価格なクライアントPCで実験を行うことにしたため物品費の執行に差異が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に,外部発表の出張旅費および謝金として使用する.
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