2014 Fiscal Year Research-status Report
サイバーフィジカルシステム型QoEトラヒック制御方式の研究
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26330111
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Research Institution | Nippon Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉野 秀明 日本工業大学, 工学部, 教授 (00644816)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神野 健哉 日本工業大学, 工学部, 教授 (50286762)
平栗 健史 日本工業大学, 工学部, 准教授 (90582817)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ネットワーク / 情報通信工学 / QoE / トラヒック / 異常検知 / 輻輳制御 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は,以下のとおりユーザ体感品質QoE (Quality of Experience)・トラヒック情報の収集・分析環境を構築し,分析・可視化技術の調査・検証までを実施した:
1.QoE・トラヒック収集環境の構築: 実データに基づく実践的な研究とするため,実ネットワークの品質・トラヒックデータをリアルタイムに収集する環境を構築した.具体的には,学内ネットワークのスイッチングハブにポートミラーリングを設定し,ネットワークセンサノードとして構築したサーバにフルパケットキャプチャデータを収集・蓄積する環境を構築し動作を検証した.また,LINE TalkやSkypeなどのスマートフォンのVoIPアプリケーションの体感遅延時間を計測する環境を整備し,遅延特性を比較評価した. 2.並列分散処理環境のストリーミング化の検証: 本研究では,CPS型トラヒック制御技術の確立を目標としていることから,分析基盤にはオンラインリアルタイム性が要求される.このため,上記1の収集・蓄積サーバから分析サーバへのデータエキスポートプログラムを作成し,Wireshark/R言語を活用して同データをリアルタイムに分析可能とした.さらに,ビッグデータに対するオンライン機械学習フレームワークJubatusを導入し,Twitter情報を対象としたストリーミング処理動作を確認した. 3.分析・可視化技術の調査・検証: IEEEにおける品質・トラヒック関連国際会議であるCQR workshopおよびGlobecomに参加し,QoE評価,トラヒック分析・可視化,トラヒック制御技術などの関連技術を調査・報告した.さらに,上記1,2で構築した環境を活用し,災害時の輻輳制御方式の提案とシミュレーション評価,異常トラヒック検知手法などのトラヒック分析・可視化技術の検証を進め,主として電子情報通信学会にて発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記したとおり,データ収集・分析環境の構築ならびに分析・可視化技術の調査・検証まで,おおむね当初計画どおり進捗している. 当初計画どおりに進まなかった事項は,次の点である.当初,QoEデータの収集環境として,Android端末やパソコン上の組み込みソフトとして実装可能な環境を構築することを目指していた.しかしながら,到達点は,スマートフォンのVoIPアプリケーションに対するユーザ体感遅延時間をオープンソースの音声処理ソフトウェアによりパソコンで計測するというレベルに留まっており,端末への実装までは実現できていない. この理由としては,国際標準化されITU-Tのサーバ上で公開されているはずのVoIPの音声品質を定量化する客観品質評価技術のアルゴリズムが公開されておらず,ライセンスを有する企業から製品を購入する必要があることが判明し,予算内での購入や独自実装が困難であったためである. また,当初計画にはなかった進展として,各種トラヒック制御方式を類型化し,分類・整理して,電気学会講演会で発表した.平成27年度以降のトラヒック制御方式の提案に繋がる成果である.
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Strategy for Future Research Activity |
前年度の第1段階の分析・可視化による洞察に基づき,今後は,第2段階として,QoE劣化箇所・要因特定技術ならびに端末・ネットワーク連携トラヒック制御技術を考案し,シミュレーションによる特性評価を進める. 現在までの達成度で記した理由から,QoE評価技術は,音声品質客観評価技術に捉われることなく,映像配信サービスに対するQoE評価技術も対象に含め,研究を推進する.例えば,最近国際標準に追記されたプログレッシブダウンロード型映像配信サービスに対する映像品質推定法の適用可能性も検討する. トラヒック制御技術は,端末側の規制制御とネットワーク側の拡大的制御(ルーチング,優先制御等)の組み合わせなど,上記のとおり整理した複数の制御方式を連携させることで,ユーザ視点からのQoE向上,ネットワーク視点からのリソース効率化を図る制御方式の提案を目標とし,過負荷に対する過渡特性などのシミュレーションによる制御特性の評価を進める.
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Causes of Carryover |
計画通りの性能を確保した上で,データ収集用サーバの構成見直しを実施したことにより,約7万円の物品費を削減したことが,次年度使用額が生じた主な理由である.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究を進めていく上で必要に応じて研究費を執行したため当初の見込み額と執行額は異なったが,研究費も含め,当初計画通りの計画を進めていく.
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