2014 Fiscal Year Research-status Report
階層間の影響を考慮した無線メッシュネットワーク技術の開発
Project/Area Number |
26330115
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
植原 啓介 慶應義塾大学, 環境情報学部, 准教授 (30286629)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | インターネット高度化 / 移動体通信 / 無線メッシュネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、物理層、データリンク層、ネットワーク層のそれぞれのパラメータを連携させた、WiFiをベースとしたメッシュネットワーク技術の開発である。2014年度は、無線干渉の通信への影響調査を中心に実施した。 調査では、2ホップの無線アドホックネットワーク環境を構築し、無線区間で使用するチャンネルを変えながらスループットの計測を行った。2つの無線区間のチャネルを、同じチャネル、隣接するチャネル、離れたチャネルに設定し、2種類の無線アドホックネットワーク用機器で実験を実施した。また、片方の機器では、2つの無線区間を中継するルータの送受信機の距離も0mm、500mm、1000mm、3000mmと変化させ、送信機間の距離の影響も計測した。 その結果、隣接するチャネルを使った場合、同じチャネルを使った時より性能が低下する現象が見られた。この現象は、2つの送受信機の間隔を広くすると幾分改善するが、チャンネルを大きく離した時に比べて小さな改善にとどまった。また、チャンネルを大きく離しても、送信受機が近い場合は性能の低下が見られた。 以上の実験結果より、隣接するチャネルは使うべきではなく、むしろ同じチャネルを使うべきであることの知見が得られた。また、使用する機器によっては(今回の場合はコンシューマ機器)送受信機の距離が大きく影響することから、シールドが強くない機器あるいはバンドパスフィルタの性能がよくない機器を使用する場合は、中継機の物理構成にも十分注意する必要があることがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2014年度は、無線干渉の影響調査を行うことを目標としていた。「研究実績の概要」にも記したとおり、2種の機材を用いて、使用するチャネルの影響や送受信機間の距離の影響について調査をし、知見を得ることができた。当初、1種の機材のみで実験予定であったため、この点は当初の予定より進んだ検証ができていると考える。 一方、MCSと送信出力の関係についての調査は、機材の確保や実験場所の問題から、実施することができなかった。この点は当初予定より遅れている点である。今後は、実験機材の確保なども含めて早急に実施する予定である。 以上の2点を鑑み、概ね順調に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、2014年度の実施を予定していたMCSと送信電力、通信距離の関係の調査を再度試みる。MCSを小さくした場合、安定して長距離で通信ができることが予想できるが、スループットは落ちると考えられる。エラーを前提とした場合、スループットを最適化できるパラメータを、この実験によって明らかにする。 その上で、2015年度は、実際に無線メッシュネットワークシステムを構築することを目標とする。提案するシステムでは、物理層からネットワーク層までのそれぞれの階層をネットワーク制御モジュールによって制御する。このため、各階層のパラメータを制御するための制御モジュールを開発する必要がある。また、現在のオープンソースの無線メッシュネットワークでは、AODV、OLSRなどのMANET用のプロトコルをそのまま用いていることが多いが、高い移動性を必要としない場合、これらのプロトコルはオーバヘッドの増加につながり、むしろ性能を悪化させる可能性がある。そこで、OSPFなどの適用を検討した上で、無線メッシュネットワークシステムを構築することを検討する。
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