2014 Fiscal Year Research-status Report
マルチメディアコンテンツの効率的な印象評価とその収集結果の可視化
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26330127
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
伊藤 貴之 お茶の水女子大学, 人間文化創成科学研究科, 教授 (80401595)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 印象評価 / 遺伝的アルゴリズム / 画像加工 / 顔画像合成 / 被験者実験 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度はマルチメディアコンテンツの印象評価ソフトウェアを開発した。具体的な開発物は以下の2点である。 まず1点目は多数の女性の顔写真について印象を入力させる手法である。本研究で開発したソフトウェアでは、顔の特徴・髪型・化粧などの組み合わせで1536枚の合成写真を生成し、その各々をGood,SoSo,Badの3段階評価で入力させる。この時GoodまたはBadと評価される写真がどれであるかが有益な知見であると考え、本ソフトウェアではGoodまたはBadと評価されると予測される写真を多く提示するために、遺伝的アルゴリズムを用いてユーザの嗜好を学習する。一方で、膨大な写真の全てを同一ユーザに評価させるのは負荷が高すぎることから、実験では30人のユーザに100~200枚ずつを評価させたデータを作成した。さらにこの評価結果の可視化も試みた。この評価結果からさらに信頼性の高いランキングを推定する方法を開発途中である。 2点目は画像加工結果に関するユーザの印象を学習し、画像加工パラメータを最適化しようという試みである。本研究では開発したソフトウェアにおいても、自動的に生成したいくつかの画像加工結果をユーザに評価してもらい、遺伝的アルゴリズムを適用することでその嗜好を学習する。実装結果について被験者実験を行ったが、思うような結果が出なかった。そこで平生26年度の後半からは、遺伝的アルゴリズム以外の方法でユーザの評価結果からパラメータを求める手法を開発途中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マルチメディアコンテンツの印象評価に関する複数の題材に同時に着手し、それぞれにおいて印象評価入力環境となるソフトウェアを開発し、被験者実験にてその結果を確認できた。両者ともに国内学会で発表しており、一方については国際会議への投稿も済ませている。両者ともに遺伝的アルゴリズムを適用したが、それ以外の数理的手法やアルゴリズムの適用についても議論が進んでおり、実装も途中まで進んでいる。以上のことから本研究は順調に進展していることがわかる。 強いて言えば、本研究の主眼のひとつである可視化については、平成26年度には大きな成果は得られなかった。平成27年度は可視化について研究開発を強化したい。
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Strategy for Future Research Activity |
「現在までの進展度」の項でも述べた通り、平成27年度は可視化について研究開発を強化したい。 平成26年度では女性の合成写真に関する印象評価結果について、研究室内の既存の可視化手法を用いて可視化を試みたが、大きな結果は得られなかった。途中まで開発している印象評価結果のランキング手法について実行結果を出せれば、これをもとにして効果的な可視化ができることを期待できる。 また平成26年度では画像加工パラメータの最適化に取り組んだが、平成27年度では遺伝的アルゴリズムのかわりに回帰分析を用いたパラメータ最適化に取り組む。一方で研究室内には回帰分析のための汎用的な可視化手法の研究にも取り組んでおり、これらを合体することでより効果的な可視化ができることが期待できる。 さらに、研究室内での別のマルチメディアコンテンツ関係の研究として、文章や動画に対するBGMの自動作曲という課題がある。これらの研究にも印象評価と可視化が関わってくるので、本科研費研究の一環として取り組んでいきたい。
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Causes of Carryover |
平成26年度に投稿した国際会議論文が不採択となり、平成27年度開催の国際会議に向けて再投稿したため、旅費を平成27年度に繰り越す必要が生じた。また平成27年度もアンケート収集等の作業が引き続き多数発生することがわかったため、平成27年度にも謝金を計上する必要が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平生27年度4月現在で投稿査読中の国際会議論文が採択されれば、その発表のために2名の旅費を計上する。また印象評価実験のためのアンケート収集に一定の謝金を計上する。その他、パソコン等の必要な機器を定常的に購入する。
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Research Products
(4 results)