2015 Fiscal Year Research-status Report
脳情報復号化技術を用いた視覚野における触覚情報表現の解明
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26330172
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| Research Institution | The University of Electro-Communications |
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Principal Investigator |
宮脇 陽一 電気通信大学, その他部局等, 准教授 (80373372)
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| Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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| Keywords | 脳・神経 / 認知科学 / 脳機能計測 / 機械学習 / クロスモーダル |
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| Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの研究において、高密度ピンアレイ型非磁性触覚刺激装置を用いて示指先端部への触覚刺激を提示し、その際の脳活動を機能的磁気共鳴画像（fMRI）装置を用いて計測した。この実験で得られたfMRI信号のパターンと提示した触覚刺激種との統計的な対応関係を計算機プログラム（デコーダ）に学習させることにより、触覚情報が表現されている皮質領野を同定した。しかしながら、触覚刺激に対して強い脳活動が観察されるべき体性感覚野のfMRI信号が小さい被験者や、体性感覚野のfMRI信号からの触覚刺激のデコード成績が低い被験者がいた。これらの問題を解決するため、本年度では触覚刺激を刷新し、示指に加え、中指、薬指の合計三指に同時に触覚刺激を与えることが可能な刺激制御方法を確立した。この触覚刺激を提示した際の脳活動をfMRI装置で計測する実験を再度実施した。並行して、視覚野（V1-V4および、MT、FFA、LOC、PPAの各領野）の同定実験も実施し、触覚刺激時における視覚野の活動を、視覚野の補領域ごとに解析できるようにした。以上の実験セットを用いて、合計８名の被験者分のデータの取得ができた。これらのデータを用いて、体性感覚野ならびに視覚野の各領域のfMRI信号と触覚刺激種との統計的な対応関係をデコーダに学習させ、触覚刺激の情報が反映されている皮質領野の同定を実施した。また、デコーダの種類に依存した成績変化を検証するため、これまで用いていた線形サポートベクタマシンに加え、非線形サポートベクタマシン（RBFカーネル型）、スパースロジスティック回帰も併用し、結果を比較した。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度に得られた結果をもとに、体性感覚野のfMRI信号を強く誘発し、さらに体性感覚野からの高いデコード成績を再現性よく得るため、実験の改良を行うことを本年度の研究推進方策として挙げていた。この点については、実験者を中心として予備実験を重ねることによって触覚刺激の最適化を繰り返し、触覚刺激の刷新を計画通り順調に実施することができた。また刷新した触覚刺激のもとで、昨年度実績を大幅に上回る８名分の被験者のデータの取得が出来ており、結果を論文へとまとめるうえで大きな進展があったと考えている。一方、昨年度から用いている線分運動を特徴量とした触覚刺激のfMRI実験に対する結果を確立することを再優先にしたため、研究提案時に予定していた他の触覚刺激特徴量を用いた実験については実施の準備段階にある。以上の実績と課題の観点において、「(2)おおむね順調に進展している」の評価が妥当と考える。
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| Strategy for Future Research Activity |
今年度作成した新規触覚刺激を用いて順調に実験データを蓄積することができており、得られた結果を論文化するための準備は進んでいる。最終的な解析では、１５名ほどの実験データが必要であると見積もっているので、これまでに確立した実験デザインのもとで、必要なデータが集まるように実験を継続する予定である。これらのデータをもとにして、次年度中での論文投稿を目標とする。これと並行し、他の触覚刺激特徴量を用いた実験、相同な視覚刺激特徴量の脳内表現様式との比較にも着手していくことを計画している。
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| Causes of Carryover |
当初購入予定であった高速タイプの触覚刺激装置を用いる実験は、触覚刺激の特徴量を変更する場合に特に必要であることが実験を進めることによって分かってきた。現在は初年度から継続している線分運動型の触覚刺激を用いた際の実験データを蓄積している段階であるため、当該触覚刺激装置の必要度がやや減じ、その代わりに現在の触覚刺激を用いた実験を引き続き実施するための費用に対する要求が高まっている状況にある。したがって、当該触覚刺激装置は来年度以降の実験進捗状況に照らして購入を検討することにし、実験に必要な費用（実験場所である生理学研究所への出張費、被験者移送費、被験者謝金など）に優先的に割り当てるほうが合理的であると判断したため。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
高速タイプの触覚刺激装置は、今後の実験および解析の進捗に応じて必要性を検討する。一方、現在の実験結果を論文へとまとめるために実験の継続、あるいは追加の実験が必要であれば、その実験に必要な費用へと優先的に割り当てる計画である。
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