2014 Fiscal Year Research-status Report
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26330173
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 正之 京都大学, 野生動物研究センター, 特任教授 (80280775)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 比較認知科学 / ニシゴリラ / 系列学習 / 動物園 / 発達 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は,まず京都市動物園に新設されたゴリラ飼育施設内に,認知課題学習用の設備を整備した。屋内居室の1つにタッチモニターを収納できるアクリルパネル製の「モニターパネル」を設置し,京都市動物園で飼育されている3個体のニシゴリラに馴致させた。研究対象としたのは,1986年生まれのメス(ゲンキ),2000年生まれのオス(モモタロウ),2011年生まれのオス(ゲンタロウ)の3個体であった。モニターパネルを導入した初日から,子どものゲンタロウの積極的な反応が見られた。課題は,アラビア数字を用いた系列学習課題であり,「1」から昇順に「2」「3」・・・と画面に提示されたすべての数字に触れられれば,視覚・聴覚のフィードバックに加えて,リンゴ片の食物報酬が得られた。ゲンタロウの学習は順調に進み,平成27年3月時点で1から10までの10個の数字の系列を習得した。また,観察学習,社会的促進により,大人個体のゲンキが26年7月に,モモタロウが27年1月よりタッチモニターへの反応を自発した。これらゴリラの系列学習に加えて,京都市動物園において先行して行っていたチンパンジー,テナガザル,マンドリルの3種についても同様の系列学習を継続して行い,学習の到達度や学習速度を比較した。ニシゴリラの学習の傾向として,他種と同様に顕著な年齢効果が見られ,子どものうちに学習を開始した個体は,大人で開始したどの個体よりも学習速度が速かった。これらの成果の一部は,国内外の学会,シンポジウム等で発表し,現在投稿準備中である。また,京都市動物園で行っている研究を,「知性の展示」として霊長類の高度な知性を来園者に広く知らせるための掲示ポスターを作成し,月例でガイドを行っている。また,本年度はニシゴリラの人工哺育個体の発達と再導入に関する論文を日本霊長類学会の機関誌「霊長類研究」に公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ニシゴリラ3個体について,子ども個体の学習の速さは当初予測したとおりに推移している。次の段階として,チンパンジーで行われた作業記憶を測る課題の訓練も開始しており,計画通りに進展しているといえる。大人個体では学習があまり進んでいないが,発達による差も予想通りであるので,現在まで順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで順調に進展してるので,計画通り,ニシゴリラの子どもについては,系列学習の項目数を伸ばすとともに,作業記憶課題の訓練を継続し,先行研究として示されたチンパンジーの子どもとの比較を目指す。大人個体については,訓練を継続する。
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Causes of Carryover |
初年度の実験にかかる備品費が,研究実施施設である京都市動物園が負担してくれたため,当初計画よりも軽減された。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
前年度残額として出た分は,実験補助にかかる人件費として使用する。研究にあたっては,さまざまな面で補助人員が必要であり,これに充てる。
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Research Products
(12 results)