2015 Fiscal Year Research-status Report
広帯域パラメトリックアレーによる空間センシング機能の開発
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26330184
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
永田 仁史 岩手大学, 工学部, 准教授 (40301030)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | パラメトリックスピーカ / ビームステアリング / 空間センシング / 遅延時間推定 / チャネル間遅延補正 / 多チャネルD/A / 装置間遅延 |
Outline of Annual Research Achievements |
パラメトリックスピーカによる空間センシングに必要な2次元ビーム走査機能開発のため、予備検討として、昨年度までに開発した1次元のビームステアリング装置を用い、1次元の空間走査のためのシステム構築と評価実験を行った。この結果、反射ビームの遅延時間について実際の反射点位置を反映した空間走査データが得られ、センシングシステムの実現可能性を確認できた。この実験では、電気的なアレー処理によってステアリングした場合とスピーカを機械的に傾けてステアリングした場合とで比較し、電気的ステアリングの場合の性能は、機械的に行った場合よりも若干劣化したものの、その差は小さかった。ただし、両方とも反射面におけるビーム入射角が垂直から離れるほど遅延時間の誤差が大きくなる傾向が見られたため、受音センサを複数にするなどの高精度化の工夫が必要となることがわかった。一方、2次元ステアリングのためには多数の振動子に独立に遅延信号を与えるため、多ch且つ高サンプリング周波数(192kHz)のD/A変換装置を複数台並列動作させる必要があるが、実際にシステムを動作させた結果、当初予定の32chD/A装置は並列化が困難であることがわかったため、異なるメーカの24chの装置2台と16chの装置1台による64chシステムに変更することとした。この装置によってシステムを構成し、信号出力した結果、異なったD/A装置間で数10点分の遅延が発生することがわかったため、チャネル間の遅延補正処理を開発する必要があることがわかった。2次元ステアリングには64ch超音波素子駆動アンプも必要であるため作成中であったが、これについては本年度中に作成を終えた。上記1次元のビームステアリングによる空間センシングの結果については、今年度の大学院修了学生が情報処理学会東北支部大会で学会発表を行い、また、本大学H27年度の修士論文にまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初用いた多chD/A装置が複数台並列動作せず、PC1台にD/A1台のペアを複数用いる複数PC構成とするか、別装置を用いるかで比較検討したが、この装置の動作するOS(Windows)においては複数PC並列処理の経験がなかったため、別メーカの装置を使うこととした。これらの検討と装置の選択、購入に時間がかかったため予定よりやや遅れることとなった。新たに採用したD/A装置の場合、複数装置の並列動作は可能であるが、装置間で数十サンプルの遅延があるため遅延補正が必要である。しかしながら、補正は遅延処理であるので、ビームステアリングのフィルタ処理に含めて補正可能であり、この装置を用いて今後のシステム開発を行うこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
システムの中核装置の変更に伴い、超音波振動子駆動信号のチャネル数を128chから64chに減らすこととしたが、大枠としては当初の予定どおり、2次元のビームステアリング機能と反射音の遅延時間測定による2次元空間走査システムを開発する。ただし、チャネル間の遅延測定処理と補正処理をシステム内に追加で組み込むことが必要となった。遅延補正システムによって簡単に多チャネルの同相化が可能となれば、使える装置の幅が広がるので重要である。また、ビーム反射角度が反射面に対して垂直から大きく離れる場合の遅延誤差の原因と、おそらくはその対処法である受音センサの複数化、および、その効果的配置についても検討する必要があるが、これについては当初予想していた範囲である。また、空間走査については、これまで、テスト信号として可聴帯域ランダム雑音のSSB変調波とその搬送波を用い、遅延時間計算には受音信号と送信信号間の相互相関関数を用いてきたが、パラメトリックSPによる発生可聴音がどのような遅延特性を持つのかについて、まだ検討を行っていないのでこれを優先して行い、さらに、種々のテスト信号と遅延計算に用いる帯域選択等の詳細な検討を行う。
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Research Products
(1 results)