2015 Fiscal Year Research-status Report
失なわれた知覚軸に対する補償軸付加による色覚障害者のQOL向上のための画像処理
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26330185
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Research Institution | Gunma University |
Principal Investigator |
太田 直哉 群馬大学, 大学院理工学府, 教授 (10270860)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金澤 靖 豊橋技術科学大学, 工学(系)研究科(研究院), 准教授 (50214432)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 色覚異常 / 画像処理 / 画像テクスチャ / 画像ノイズ / ハッチング / ブリンク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は色覚異常者が識別できない色を、画像処理によって識別可能にする手法の研究である。この目的のためには色自体を色覚異常者が識別可能な色に変更するのが直接的であるが、本研究ではこの方針を取らず、色覚異常者が色空間上で失った一次元の軸を、色以外の画像特徴に写像するという考えに基づいた手法を開発している。これによって色覚異常者に欠けている色識別能力を補償した上で、色覚異常者に対してもそうでない人に対しても、同様に好ましい見え方をする画像を生成することを目指している。 研究を進めている一つの手法は、画像ノイズによるテクスチャの変化で識別できない色の区別を可能にする手法である。この手法は主に自然画などへの適用を想定している。この手法は今年度以前から提案・実験・評価を行ってきているが、今年度も引き続き、より効果的なノイズの付加手法を実験・検討した。 一方同様の処理を、画像ノイズではなくハッチングを用いて行う手法も前年度から引き続き研究している。こちらは自然画ではなく、グラフや図などの人工的な画像への適用を想定している。ハッチングを用いる手法は本研究を始める以前に提案されているが、昨年度はその効果的な使用を自動的に決定する方法について取り組んだ。本年度はその手法を進化させるとともに、破線や縁取りなどハッチング以外の装飾も想定し、その装飾の効果的な利用のルールを検討している。 さらに本年度の初めての進展として、色覚異常者が色空間上で失った一次元の軸を、時間軸に写像するという考えに基づき、ブリンクによって色の差異を表現する手法を考案した。色覚異常者は日常、焼肉の焼け具合やトマトの熟れ具合が分からないことに不便を感じると言われているが、それを画像のブリンクの程度に対応させることによって区別できるようにする処理を実験し、学会で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
画像ノイズを付加する手法およびテクスチャを用いる手法とも研究が進んでいる上に、当初計画していなかった画像ブリンクによって色の差異を表現する方法を考案し、その手法を焼肉やトマトの色変化を知るために適用した。そのために当初の計画以上に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
画像ノイズおよびハッチングを用いる手法は引き続き研究を進め、その成果を結果を報告する。画像をブリンクさせる手法については基礎を定式化すると同時に、特に焼き肉の焼け具合やトマトの熟れ方の検知など、色覚異常者が日常で困難を感じている問題に特化した手法を確立することも目指す。さらにその手法をスマートフォンのアプリケーションとして実現することも検討する。
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Research Products
(1 results)