2015 Fiscal Year Research-status Report
時間周波数平面上の成分移動による高耐性音声の研究と研究者用音声データベースの作成
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26330188
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
高橋 弘太 電気通信大学, 情報理工学(系)研究科, 准教授 (10188005)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 音声音響データベース / 話速変換 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は2つの内容から成る.第一の内容である「騒音に対する耐性の高い拡声システム」に関しては,本年度は以下の成果を得た.まず,昨年度導入したCPUを内蔵したFPGAシステムに,AD変換器,DA変換器基板を設計・製作して付加し,システムの拡張を行った.さらに,CPU部分とFPGAロジックセル部分の通信部分については研究グループとしては初めての取り組みであるので,簡単な通信からはじめて種々の方式を試み,ノウハウを蓄積することを心がけ,今後の研究遂行に問題がないことが確認できた.また,研究の理論面や価値観の問題であるが,通常は音声関係の研究会で専門家の意見を聞いていたが,本年度は8月に実施された「騒音・振動研究会」の発表会で本研究の核心部分について発表し,騒音関係を専門とする研究者の意見を聞くことができ,今後の研究の方向付けに活かすことができた.一方,本研究の第二の内容である「音声音響データベースの構築」に関しては,昨年リリースした「1文字違い」の発話に加えて,本年度は「カーナビ音声」の発話もリリースした.文章の数は32で,サンプリング周波数44.1 kHzのビット深度16bitのデータとして誰でも利用できるように公開してある.今回公開した部分は,「右です」「左です」など,聞き落としてはいけないポイントが明確になっている音サンプルであるので,本研究を進めるにあたって役に立つだけでなく,全国の音声研究者や企業の研究者の方々からも利用されることを願っている
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
おおむね順調と自己評価した理由は2つに分けられる.第一に,「騒音に対する耐性の高い拡声システム」の試作に関して,研究がぼ順調に進行しているからである.本課題では,ハードウエアの構築だけでなく,論理合成などのツールに関する使用方法のノウハウの修得も必要となる.どちらも非常に時間のかかる仕事であるが,一歩一歩,着実に進んでいる.また,最新のデバイスの使用が可能になってきており,これによって当初想定されていたよりも高い処理能力を持ったシステムとすることも見えてきた.さらに,現時点までに,特に問題になりそうなことは解決してきたので,この先も順調に進めるであろうとの見込を持っている.また,第二の研究内容である「音声音響データベースの構築」に関しても,本年度も新しいデータベースセットをひとつ公開できた.昨年度に続き,連続で新しいデータベースセットを公開し,それはすでに外部からも利用可能になっていることから,こちらについても概ね順調に進行していると自己評価した.
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Strategy for Future Research Activity |
以上のように研究は予定どおりに進行していると考えており,今後の大きな予定変更は考えていない.最終年度にあたる次年度も当初の計画どおりに着々と研究を進めて行く予定である.システムの試作としては,どのような規模にするのか,どのような演算速度まで狙うのかなどの落とし所を決めなければならないが,すでに有益な知見をいくつか得ているので,迷わずに進むことができると考えている.「音声音響データベースの構築」に関しては,特に第三者が使いやすいようにまとめたいと考えている.具体的には,データをさらに解りやすく整理したり,時間区間のラベルをつける,もしくは語句を切るなどの方策である.これによって,本研究プロジェクトの終了以降も,より多くの研究者や企業の開発担当者などに利用してもらえることを狙いたい.そのためには,広報活動にも精を入れたいと考えている.
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Causes of Carryover |
購入予定品のひとつであるFPGAボードについて,新製品が市場に出てくるタイミングを考えると,本研究に最適なものを購入する場合,本年度よりも来年度のほうが良く,効率的な予算の使い方になると考えてその分の予算を次年度に持ち越すことにした.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
以上の理由により,より信号処理に必要なより適切な演算系を次年度に購入する予定である.
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Research Products
(1 results)