2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26330190
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
山本 正信 新潟大学, 自然科学系, フェロー (00242397)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 個人認証 / 歩行動作 / 身体サイズ / Kinect / 夜間 / セキュリティ / 遠赤外線カメラ |
Outline of Annual Research Achievements |
歩行動作の測定をKinectのv1からv2へバージョンアップして行った.v2では動作以外にも身体のサイズ情報が同時に取得できるのが特徴である.勿論,v1でもサイズ情報を取得可能であるが,一旦を静止させて取得していた.これはKinectに梱包されていたアプリケーション・プログラムの違いによるものである.歩行動作の特徴から個人認証を行ってきたが,サイズ情報も有力な特徴である.実際,他機関でのKinectを使用した個人認証ではもっぱらこのサイズ情報を使用している.今回は,動作特徴とサイズ特徴を融合し,個々の特徴による識別よりもさらに識別率の向上を目指すものである.いわゆるシナジー効果を期待するものである.よく知られたバギングやブースティングなどは弱識別機からの多数決による識別性能の向上を狙っている.本研究でも動作特徴やサイズ特徴による識別器を弱識別機とし,それらの統合による強識別機の構築を行った. 一方,Kinectによるモーションキャプチャにも限界が見えてきた.Kinectの測定レンジはセンサの手前1mから4m程度である.これでは足早の歩行動作を測定しづらい.また,国際基準のクラス1とは言え赤外線レーザーの投射による測定であるので,万が一でも人体への影響を無視できない.そこで,通路の両サイドに受動型の遠赤外線カメラを配置し,ステレオカメラによる3D動作測定を検討した.ただし,手持ちの遠赤外線カメラ(FLIR TAU 320 9MM)は解像度が320×240と低いため,通常の可視光カメラによる検討を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新たに30名の被験者を対象に得たデータを元に個人識別を行った.被験者は20歳前後の男女半々の大学生である.弱識別機として,歩行動作特徴の高次固有空間からの識別器,身体サイズ特徴から,ユークリッド距離による識別器,及び相互部分空間法による識別器を用意した.動作の運動パラメータは部位の運動パラメータの集まりで54次元ものパラメータ空間に軌道を描く.この空間を固有空間に変換し,特徴の顕著な順に2次元の固有平面上に軌道を射影する.動作特徴が保存される上位10次元の固有空間を5枚の固有平面で表し,各平面に描かれた図形から識別を行った.一方,身体サイズデータは各部位の長さを並べて得られるベクトルの時系列データである.サイズベクトルの時間平均値を特徴ベクトルとし,特徴ベクトル間のユークリッド距離から最近傍決定法により識別した.これは身体スケールによる識別となる.さらに,身体サイズベクトルの時系列同士を相互部分空間法により識別を行った.この識別法は部分空間同士がコサイン類似度により正規化されるため,身体プロポーションによる識別となる. 弱識別器は未知の人物データに対し,候補者を類似度順に出力する.候補者毎に各識別機からの順位の総和を求め,最小順位和が付けられた候補者を識別結果とする.30名の被験者に対し識別を試みた.まず,ユークリッド距離に基づく最近傍決定則では80%,相互部分空間法では60%,高次固有空間法では58%の識別率であった.これに対し,最小順位和による決定では90%の識別率を得た.
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Strategy for Future Research Activity |
歩行動作や身体サイズなどの特徴に基づく弱識別器を統合した強識別器は,30名の被験者に対し90%もの識別性能を示した.しかしながら,被験者を10名から25名までに限定したところ,識別性能が若干低下してしまった.このことは,被験者の人数が増えれば識別率が上がることを示唆するのであるが,これは考えられない現象である.識別率の計算方法に問題があったと思われる.原因の究明を行いたい. 遠赤外線カメラは可視光カメラとは異なり身体の体温画像を得ることができる.このステレオカメラから深度を測定する前に,ステレオ映像を3Dモニタ上で肉眼により観察し,正しく距離感を得るための条件を見出した.それは,対象の奥行き速度によりステレオカメラの基線長を伸縮させる必要があることが分かった. 現行の遠赤外線カメラは解像度が低い上,焦点距離が固定されている.予算も限られていることから,可視光カメラによる歩行動作の測定法を検討する.既に,多視点ステレオカメラのパン回転により,20m程度を移動する歩行者の動作測定が可能となっている.この技術は,あらかじめカメラのパン回転からの映像から背景のパノラマ画像を作成しておく.動作の測定では,歩行者の背景画像とパノラマ画像を照合させることにより,カメラのパン回転角度を割り出し,基準カメラの姿勢に加えることにより可動カメラの較正を行うのである. 今回は,カメラのズームを操作することにより焦点距離を変化させ身体画像を安定的に捉えることにする.すなわち,身体が遠方にあるときはズームインし,間近に来たときはズームアップし,常に身体像が画角内に適切に収まるように撮影する.背景パノラマ画像との照合により焦点距離も較正可能である.歩行距離50m程度の動作測定を目指す.
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Causes of Carryover |
当初Kinectによる歩行動作測定を研究の前提としてきたが,実用化のためには深度の測定レンジが不十分であることが明らかになってきた.そこで,同じく夜間で有用な遠赤外線ステレオカメラからの深度測定法を検討することにした.ただし,現行の遠赤外線カメラは解像度等に難点があるため,当面可視光カメラを使用することにした.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
可視光多視点可動カメラで実験を行う際に,カメラの運搬・設置・稼動に係る雑役務費として,また,論文投稿に向けての調査費及び論文の採録・掲載が決まれば掲載料として支出予定である.
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Research Products
(2 results)