2015 Fiscal Year Research-status Report
聴診音を用いた心音の混入に頑健な肺疾患者及び心臓疾患者の高精度な検出法の研究
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26330198
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
松永 昭一 長崎大学, 工学研究科, 教授 (90380815)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 肺音 / 副雑音 / 疾患者検出 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、複数の聴診箇所から得られる多様な(心音等の雑音が含まれる)呼吸音を用いた高精度で頑健な呼吸器疾患者の検出アルゴリズムの研究を行っている。平成27年度の研究実績は以下である。 1)心音(特にI音とII音)が多く含まれる左胸部の聴診箇所の呼吸音に対して、副雑音及び心音のラベル付与を行った。この結果、左胸部に関しては3箇所の聴診箇所に対してデータベース化でき、より信頼できるデータとした。 2)複数の聴診箇所で収録した肺音データを用いることで音響モデルの構築に用いる肺音データを増やすことや音響モデルの被験者適応に用いる肺音データを増やすことで異常肺音の検出精度と肺疾患者の識別精度の向上を目指した。聴診箇所が比較的近いと考えられる複数の聴診箇所の肺音データを用いて音響モデルの構築を行なうことで識別率を向上させた。 また評価対象の聴診箇所の肺音データだけでなく評価対象の他の聴診箇所の肺音データも適応データとして音響モデルの被験者適応を行なう手法は,評価対象者の肺音データであっても他の聴診箇所の肺音データを適応データとして用いるためには適応法の検討が必要であることが明らかとなった。 3)心音の周期と継続時間を考慮して,認識結果の副雑音の区間が心音の出現する可能性が高い区間であった場合,Ⅰ音と副雑音の継続時間の正規分布関数の自然対数の差を異常の尤度にペナルティとして与える手法を検討した。この結果、心音の混入しやすい聴診箇所の聴診音を用いた異常肺音の検出に有効であることを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
心音を伴う聴診音に対するラベリングを行ったことにより、実験の信頼性を高めることができた。また、心音の検出に関して、確からしい心音を検出する手法を考案でき、異常肺音の検出、疾患者の検出に適用でき、その効果を確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
1)確からしい心音の検出結果に基づいて心音と副雑音を検証する方法の考案はできたものの、心音の混入が多い聴診箇所のみに有効であるため、心音の混入が少ない聴診箇所においても有効なアルゴリズムに発展させる。心音の混入頻度を推定する方法が必要となる。 2)心音の混入が多い箇所の肺音を用いても、疾患者の高い検出性能を可能とするために、心音の混入が多い複数箇所の聴診データを用いた疾患者の検討を行う。1)で検討する心音の混入頻度を考慮した認識尤度の算出方法が課題となる。 3)従来のパワーやケプストラムの音響特徴パラメータのみではなく、心音及び副雑音の検出に有効な新しい音響特徴パラメータの検討を行う。この検討は将来の深層学習の課題と深く関連する。
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Causes of Carryover |
肺疾患者識別手法の成果発表を一部見送ったため。また、心音の正確な推定とそれに伴う肺疾患者の識別手法の計算量の増加に対処する必要が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
使用予定は以下である。 1)物品費:Linuxパソコン(疾患者検出用) 38万円. 2)旅費:国内会議,国際会議ICA等 45万円. 3)人件費・謝金(ラベリング) 10万円. 4)その他 会議登録費用等 19万円
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Research Products
(4 results)