2016 Fiscal Year Research-status Report
マルチレーザ光投射に基づく高速小型距離画像センサの構築とその応用
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26330205
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
梅田 和昇 中央大学, 理工学部, 教授 (10266273)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
増山 岳人 中央大学, 理工学部, 助教 (20707088)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 距離画像センサ / マルチスリットレーザ / アクティブステレオ / 三次元マッピング / 高速ビジョン / オプティカルフロー / 勾配拘束 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,スリット光などを多数投射するレーザプロジェクタを用いて距離画像を高速に計測する小型距離画像センサを構築し,ロボティクスへの応用を行うことを目的としている.具体的には(a) マルチスリット光を用いたカラーテクスチャを同時取得可能な距離画像センサの構築,(b) 超高速オンライン3 次元マッピング手法の構築,(c) ロボットハンドに搭載可能な超小型距離画像センサの構築を行うという内容である. (a)に関しては,既に構築していたセンサのプロトタイプのレーザが経年劣化したこともあり,新たなプロトタイプの設計・製作を行った.新規購入したマルチスリットレーザプロジェクタにモノクロカメラ・カラーカメラを組み合わせ,カラーテクスチャを同時取得可能とした.さらに,カラーカメラにレーザの波長をカットするハイパスフィルタを装着することで,カラー画像にレーザスリット光像が写らないようにできた. (b)に関しては,(a)で構築したセンサを用いて,マルチスリット光を用いたセンサに対してのマッピング手法の構築を実現した.手法には,昨年度に構築した,処理速度とマッピング精度とを両立した,連続するカラー画像での特徴点の対応(オプティカルフロー)を求め,その特徴点の3次元座標を距離画像の補間から得て,3次元運動を求めるという手法を適用した.マルチスリット光を用いたセンサにより,マルチスポット光を用いたセンサの約10倍の高密度のマップ作成を実現した. (c)に関しては,マルチスリット光像のぼけを用いて距離を算出する手法の改善を行った.ぼけたスリット像にガウス曲線を当てはめ,その分散の大きさから,距離を取得するという手法により,対象物の色や反射率によらず距離の算出を実現した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の3テーマのいずれも,一定の進捗を得ている. (a)に関しては,単体のセンサのプロトタイプとしてほぼ完成することができた.特に,2016年度に新たに設計・製作したプロトタイプでは,カラーカメラへのハイパスフィルタの装着を新たに行うことにより,距離画像と,マルチスリット光像の影響がないカラー画像との同時取得を実現できた. (b)に関しては,距離画像の勾配拘束を用いた超高速の手法に加え,連続するカラー画像での特徴点の対応(オプティカルフロー)を求め,その特徴点の3次元座標を距離画像の補間から得て,3次元運動を求めるという処理速度はやや劣るものの,マッピング精度の高い手法を構築し,さらに本手法が,マルチスポット光を用いたセンサで得られる等方的な距離画像だけでなく,マルチスリット光を用いたセンサで得られる非等方的な距離画像に対しても適用可能であることを示した.その際,(a)のセンサでカラー画像にマルチスリット光像が映り込まないことが効果的であった.一方で,現状では,マルチスリット光を用いたセンサの非等方性を積極的に生かした手法の構築には至っておらず,高密度のマッピングが実現できている一方でマッピング精度自体はマルチスポット光を用いたセンサと比較すると劣っている. (c)に関しては,小型のセンサを構築し,小型故に問題となる近距離でのスリット光像のぼけを逆に積極的に生かした,近距離の距離画像計測手法の構築に成功しており,十分な成果が挙がったと考えている.一方で,当初計画にあったロボティクス応用への展開に関する検討に関しては,それ程進んでいないのが現状である. 以上を総合的に見て,一部進捗が不十分の点もあるが,想定を上回る成果が上がった点もあり,全体としてはおおむね順調に進展していると判断する.
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Strategy for Future Research Activity |
基本的には引き続き現状の研究を継続して推進し,成果をまとめたい. (a)に関しては,おおむね研究開発は終了したと判断しているが,更なる計測精度の向上などの基本性能の向上は,(b)の研究との関連もあり進めていきたいと考えている.また,当初計画にはあったものの未達成の,対応点問題を回避するための撮像素子上で生じる視差の制限条件を回避する手法の構築に関しては,全体の進捗を見ながら判断したい. (b)に関しては,既にマルチスポット光を用いたセンサに対してのマッピング手法を確立し,それがマルチスリット光を用いたセンサにも利用可能であることを実証しているが,現在実現できていない,マルチスリット光を用いたセンサの非等方性を積極的に生かした手法の構築を目指すことが主たる目標である.また,これまでに確立した手法,すなわち,距離画像の勾配拘束,あるいはカラー画像のオプティカルフローを用いることに拘らず,新たなマッピング手法を構築することも検討したい. (c)に関しては,これまでに成果が挙がったスリット光像のぼけを用いた手法のさらなる発展を行いたい.特に,より近距離での距離画像計測を実現しようとした場合,現在の三角測量を前提としたプロジェクタとカメラのレイアウトだと,カメラの視野からプロジェクタ像がはずれてしまう問題もある.ぼけを用いた計測手法の精度向上,処理速度の向上などを行いつつ,センサを構築しなおすことも可能なら行いたい.また,現在十分でないロボティクス応用への展開に関する検討に関しては,全体の進捗を見ながら判断したい.
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Causes of Carryover |
既存の装置の活用により,当初計画より物品費が抑えられたことが,次年度使用額が生じた主たる理由である.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
最終年度である平成29年度は精力的に成果発表を行う予定であるので,主に旅費に使用したいと考えている.また,一部センサの改良に使用することも検討する.
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Research Products
(8 results)