2014 Fiscal Year Research-status Report
変形耐性を制御可能なパラメトリック画像マッチングの研究
Project/Area Number |
26330207
|
Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
若原 徹 法政大学, 情報科学部, 教授 (40339510)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 画像マッチング / 変形耐性 |
Outline of Annual Research Achievements |
1.変形耐性をパラメトリックに制御できる画像マッチング手法として、まず、2枚の濃淡画像間での正規化相互相関値を最大化する最適な2次元射影変換(独立な8パラメータを含む)を決定する目的関数を設定した。次に、2次元射影変換がアフィン変換(独立な6パラメータを含む)と部分射影変換(独立な2パラメータを含む)の積に分解できることを示した上で、最適なアフィン変換成分と部分射影変換成分を独立に求める計算モデルを定式化した。最後に、それらが非線形最適化問題となるため、線形近似による準最適解を求めてから逐次代入法により最適解に収束させる反復解法としてまとめあげた。これをGPT(Global Projection Transformation)相関法と命名した。 2.上記1.において、線形近似による準最適解の定式化を行う際、線形近似の方法を複数種類検討したが、ほぼ同等の最適解への収束性を示すことを確認した。これより、最も簡便で直観的な線形近似法を採用することとした。また、本計算モデルではアフィン変換成分と部分射影変換成分を独立に求めているため、本来同時に決定すべき8パラメータの計算モデルにはなっていない。このため、逐次代入法の適用では、アフィン変換成分のみ適用する、部分射影変換のみ適用する、アフィン変換と部分射影変換の積による2次元射影変換を適用する、の3種類の場合で正規化相互相関値が最も増大するものを採用することとした。 3.今回提案したGPT相関法をk最近傍法と組み合わせて公開手書き数字データベースMNISTの認識実験に適用した結果、k最近傍法との組合せによる手法の中で最も低いエラー率0.49%が達成され、GPT相関法の有効性を示すことができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.独立な8パラメータで制御される2次元射影変換により2枚の濃淡画像間で正規化相互相関値を最大化する画像マッチング法の計算モデルを定式化することができた。キーアイデアは2次元射影変換のアフィン変換と部分射影変換の積への分解であり、これによりアフィン変換成分と部分射影変換成分を独立に求める方式が考案でき、アフィン変換成分の計算では先に提案したGAT相関法がそのまま適用できた。当該研究成果は、第22回パターン認識国際会議で発表し、大きな関心を集めた。 2.現状のGPT相関法の計算モデルでは、独立な8パラメータを同時には決定しておらず、6パラメータと2パラメータに分けての個別の最適化問題として扱っている。このため、逐次代入法の適用による反復解法を工夫しても、最適な2次元射影変換への収束が常に保証されているとは言えないという難点が残った。 3.GPT相関法とk最近傍法の組合せによる公開手書き数字データベースMNISTでの優れた認識性能は、第22回パターン認識国際会議で報告し、高い評価を得た。しかし、k最近傍法との組合せではどうしても処理時間の膨大化が避けられない。そのため、GPT相関法本体の処理量削減が課題となる。 4.これまで2枚の濃淡画像間での「全体と全体」のマッチングを対象としてきた。しかし、ある対象物体の画像とその対象物体が2次元射影変換を受けて部分画像として含まれているような画像との間での「部分と全体」の画像マッチングも重要な課題である。GPT相関法の「部分と全体」の画像マッチングへの適用は大変興味深いが、未検討である。
|
Strategy for Future Research Activity |
1.アフィン変換成分と部分射影変換成分を独立に求めるのでなく、2次元射影変換の8パラメータを同時に決定できるようにGPT相関法の計算モデルを発展させる。そのために、2枚の濃淡画像間での正規化相互相関値を最大化する最適な2次元射影変換の8パラメータを同時に求める非線形最適化問題の定式化をまず行い、次いで、それに適した線形近似の導入と反復解法の検討を進めることとする。 2.2次元射影変換を吸収するGPT相関法の「部分と全体」の画像マッチングへの適用を検討する。これは変形した対象物体の検出を行うという課題であり、①対象物体が存在する候補領域を効率よく決定すること、②GPT相関法による変形耐性画像マッチングを行い対象物体を同定すること、を同時に解決する必要がある。 3.GPT相関法の計算量の削減、その上での汎用画像マッチングツールとしての整備は、上記1.および2.に記したGPT相関法の発展方策が達成できてから進めることとする。
|
Causes of Carryover |
第22回パターン認識国際会議参加旅費の不足分を「その他」に計上してあった直接経費から補填した。このため、「その他」で支出を予定していた会議参加登録費は大学の個人研究費から支出した。次年度使用額は、「その他」で計上してあった総額から旅費補填分を差し引いた額に一致する。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度参加予定の第15回画像処理国際会議での旅費支出に充てる。
|
Research Products
(2 results)