2016 Fiscal Year Research-status Report
生物が有する特異な感覚機能に基づくヒト感覚拡張システムの開発
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26330227
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Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
水野 文雄 東北工業大学, 工学部, 准教授 (20432289)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ウェアラブルテクノロジ / ヒューマンインタフェース / バーチャルリアリティ / 両眼視野闘争 / ヘッドマウントディスプレイ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題において、我々はカメレオンに代表されるような異なる方向の同時知覚が可能な生物が有する特徴的な身体構造や運動機能に着目し、ヒトに対して模擬的な運動機能の付与を可能とするウェアラブルデバイス「バーチャルカメレオン」の開発を行っている。バーチャルカメレオンは2台のカメラ、両眼独立投影可能なヘッドマウントディスプレイおよびコントローラにより構成されている。平成28年度では、外部指令信号の付与により最大10倍までのズームをはじめとする光学機能制御が可能なカメラを搭載したシステムの開発を行った。バーチャルカメレオン使用時において、ユーザーの視覚には両眼視野闘争が発生する。両眼視野闘争は、これまでの報告でも説明した通り左右の眼に投影された像の知覚の交替現象であり、両眼に投影された像のどちらが優位に知覚されるのかは像に含まれる視覚刺激の種類と大きさに依存する。これまでバーチャルカメレオンを用いた実験において、高得点者はカメラの動きによって生じた像の流れによって視覚の優位性を切り替えながら操作を行っていたことから両眼視野闘争かにおけるユーザーの周囲の視覚にはその刺激の強さは大きく関連があると考えられる。従来システムでは、画像の拡大は固定されていた上にユーザーが能動的に発生させられる視覚刺激はカメラの動きに基づく一様な画像の流れによる動きということになる。今年度追加したカメラでは、画像のズームにより照射状の像の流れと、同一視界における空間周波数を変化させることが可能となる。ズームによる拡大縮小によって画面上における視覚情報量の増減や変質も発生すると考えられる。これにより、従来のシステムと同様な機能に加え、新たな視覚刺激や情報量の変化を与えることが可能となった。これらの機能が、ユーザーによって行われる周辺視覚にどのような影響を与えるのかは今後の実験により明らかにする予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
昨年度の開発装置の操作インタフェースの機能拡張に加え、カメラ系に関しても見直しが必要となったため、聴覚情報提示デバイス開発に遅れが生じている。また、現時点においてもユーザー使用時の視覚情報処理に関する心理評価について検討事項は更に増加し、実施事項が増大していることも進捗に遅延が生じている理由となっている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの開発装置を用いた心理実験と並行して、平成29年度については、計画にやや遅れが生じている聴覚情報提示デバイス系の開発に重点を置いて計画を遂行する予定である。
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Causes of Carryover |
前年度に続き、検討事項の増加とその実施に起因する研究計画の遂行の遅れと実施項目の増加に伴い、聴覚情報提示デバイス開発のための物品購入計画にも遅れが生じているため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本計画に従うよう、研究で装置開発に使用する使用資材等の購入と、成果発表のための国内・外国旅費、実験補助者に対する謝金等に使用する。
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