2014 Fiscal Year Research-status Report
多文化共生社会に寄与するエージェントの非言語行動研究
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26330236
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Research Institution | Osaka Institute of Technology |
Principal Investigator |
神田 智子 大阪工業大学, 情報科学部, 教授 (80434786)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ヒューマン-エージェント・インタラクション / 非言語行動 / 対話エージェント / HAI / 感性情報学 / 異文化コミュニケーション / オンラインコミュニケーション / 国際情報交流 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,人間同志のコミュニケーションにおける非言語行動の文化差を分析し,インタラクション評価実験を行うことで,多文化共生社会に適応可能なエージェントの非言語行動の設計における考慮点を提言することを目的としている.評価する非言語行動として,1)平成26年度「うなずきの文化差」,2)平成27年度「身体操作の文化差」,3)平成28年度「対人距離の文化差」の順に実施する予定である.平成26年度の研究計画は,エージェントのうなずきの文化間比較として,複数の国で録画された対話コーパスの動画を分析することにより,人間同志のうなずきタイミングの文化差をエージェントに実装すること,また,異なる文化のうなずき行動を実装したエージェントと人間のインタラクション評価実験を行うことにより,エージェントに対する印象変化や話し手の発話長の変化などを比較することであった.26年度の成果は下記の通りである. 1)実験の実施:予定通り,ドイツ,フランス,デンマーク等の対話コーパスよりうなずきのタイミングと頻度を洗い出し,対話エージェントのうなずき行動としてエージェントに実装をし,実験参加者の発話長や対話に対する印象評価実験を実施した. 2)27年度の研究計画である,身体操作の文化差に関して,前倒しに研究を進め,日本人の身体操作の特徴の洗い出しを開始した. 3)28年度の研究計画である,対人距離の文化差に関して,前倒しに研究を進め,日本人の立位と座位の対人距離の特徴の洗い出しを開始した. 4)上記研究成果を,国際会議2件,国内会議4件で発表した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
26年度のうなずき頻度のタイミングの文化差に関する実験は,米国南カリフォルニア大学およびデンマークのオールボー大学で欧米出身の実験参加者を用いて行う予定であったが,米国の研究者との予定が合わず,デンマークのオールボー大学でのみ実験を行った.しかし,デンマークの大学は多国籍の学生が在籍していたため,主に欧州の複数国の実験参加者を得ることができたため,研究には支障はなかった. また,27年度,28年度の研究計画に含まれている「身体操作」と「対人距離」に関して,研究を前倒しに進め,日本人の非言語行動の特徴の抽出を行った.これにより,27年度以降の研究を順調に進めることができると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
27年度は,対話エージェントに髪触り,顔さすりなど日本人に特有の身体操作を実装し,エージェントとのインタラクション評価を行う.身体操作は人間が緊張状態にある時,またはくつろいでいる時におこる身体接触行動である.対話コーパスの動画をビデオ分析することにより,人間同志の身体操作の発声頻度と発生タイミングおよび種類などを数値化し,エージェントに実装する.身体操作の公的な場での許容度は文化によって異なるとされるため,異なる文化の身体操作を行うエージェントと人間のインタラクション評価実験を行うことにより,エージェントや対話に対する印象変化を比較する. 28年度は,3D仮想空間内のエージェントと現実空間の人間が操作するアバタとの間の立位と座位の対人距離の文化差を検証する予定である.さらに,「多文化共生社会に寄与するエージェントの非言語行動」研究の3年間の成果を,うなずき,身体操作,対人距離の観点からまとめ,成果の発表を行う.
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Causes of Carryover |
成果発表のための学会参加費と旅費で,当該年度の予算をほぼ使い切り,残額が3万円程度であったため,次年度への繰越とした.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の成果発表のための旅費,および備品の購入のために使用する.
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Research Products
(6 results)