2015 Fiscal Year Research-status Report
ロービジョン者用ディスプレイのための2波長対応回折光学素子の作製
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26330239
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Research Institution | Hyogo Prefectural Institute of Technology |
Principal Investigator |
瀧澤 由佳子 兵庫県立工業技術センター, その他部局等, 研究員 (20470255)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 回折光学素子 |
Outline of Annual Research Achievements |
全盲ではないが、日常生活に支障のある視力障害者であるロービジョン者の日常生活を支援するため、視覚支援補助具の開発が行われてきた。しかし、これらは静止時の利用が前提であった。本研究申請者の先行研究において、歩行時の視覚機能の補助具としてのゴーグル型のロービジョン者用ウェアラブルディスプレイを提案してきた。また、本ディスプレイの小型化とカメラの視界の中心と人の視界の中心が一致する画像を得るために可視光域でのホログラフィック光学素子を用いた撮像光学系について検討を行ってきた。本研究では、可視光域に加えて近赤外光域での回折光学素子を作製し、これを用いた撮像光学系を構築することを目的としている。昨年度においては、近赤外光域結像用HOEを設計するために、Kogelnikの結合波理論に基づいたシミュレーターを構築し、素子の作成条件を求めた。実際には、赤色レーザーを光源とする作製光学系を構築するのが困難であったため、他の波長のレーザーを使用することとなったため、波長480,532nm付近に回折効率のピークがある素子を作製する光学系を構築し、素子が作製できることを確認していた。 この素子は1回の露光で作製するため、素子の面積が小さく受光する範囲が狭い。つまり、前方視界をとらえる範囲が狭い。そこで本年度は複数回の露光により素子の面積を大きくし、受光範囲が広い素子を作製することについて検討した。 具体的には露光面において、光のあたる範囲の光強度のプロファイルと前年度構築したKogelnikの結合波理論に基づいたシミュレーターをもとに露光位置と素子の面積について検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
昨年度に予定していた赤色レーザーを光源とする光学系の構築ができず、青、緑の波長のレーザーを用いた光学系を構築し、検討を行った。27年度においては赤色のレーザーの光学系を構築した。ロービジョンディスプレイ用の光学素子としては、2波長に対応する共通の光学系であるほうがよいため、現在別々に構築した光学系を統合するように修正する必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
MEMSプロセスを用いた素子の作製方法についても、作製光学系で露光して作製する手法と並行して検討を行っている。ポリマーMEMS技術を用いて、レンズのシリコン型を作製しホットエンボス工程によってPMMA材料としたレンズの作製を試みたが、離型の工程に難がある。今後、計画どおりに進めるために、自作による方法だけでなく、外注も含めて検討する。
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Causes of Carryover |
平成27年度中に実験に使用予定の材料が、年度内では不要になったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度、材料を購入する予定である。
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