2015 Fiscal Year Research-status Report
楽曲データに多様な解釈を与えるための多角的分析エンジンの開発
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26330243
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| Research Institution | Hokkaido University |
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Principal Investigator |
大久保 好章 北海道大学, 情報科学研究科, 助教 (40271639)
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2014-04-01 – 2017-03-31
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| Keywords | 類似楽曲検索 / Top-N 極大 k-plex 抽出 / 真 k-plex 性 / 疑似クリーク |
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| Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題では，データマイニングにおけるクラスタ抽出の枠組みを基礎として，楽曲の多様な解釈を行なうための基盤技術開発を試みる．特にここでは，多くは信号レベルで扱われる楽曲を離散データとして扱うことで，申請者がこれまでに考察した形式概念解析やグラフ理論に基づくクラスタ抽出技術を基礎として，陽に説明可能な楽曲間の関係をもとに多様な解釈を試みる．
今年度の主な成果は次の通りである．
解集合の分割に基づくサイズ上位 N の極大 k-Plex の高速抽出：
前年度に開発した最大 k-plex 抽出アルゴリズムをより実用的，かつ，有用なものとすべく，サイズが上位 N の極大 k-plex を高速抽出する枠組みへと拡張し，システムの実装，および，計算機実験を行った．ここでも真 l-plex 性に基づく解集合の分割アプローチが有効であり，探索範囲が限定された真 k-plex 領域において高速に抽出される上位 N の暫定解が，多くの場合に最適解と一致する．よって，これら暫定解を利用した分枝限定操作は，不要な探索枝の展開を強力に抑制するものとなり，結果として最適解の高速抽出が実現される．実験では，数十万頂点規模の，ソーシャル・ネットワーク，論文共著者ネットワーク，および，人工ネットワークに対して，現実的な時間で解の抽出が可能であることが確認でき，類似検索や類似性分析における有用な基盤ツールとして利用可能であるとの見通しを得た．
RWC 楽曲データベースの整備，および，予備実験：
学術研究目的で有償配布されている RWC 研究用音楽データベースを導入し，そのデータ加工・整形に着手し，現在も作業を継続している．データは WAV 形式のオーディオファイルで提供されており，各楽曲のメル周波数ケプストラム係数ベクトルをもとに，楽曲の信号情報とタグ情報を組み合わせた高度な類似検索，および，分析手法の開発を目指す．
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
サイズ上位 N の極大 k-plex 抽出手法は，アルゴリズムの設計・実装，および，実験による計算パフォーマンスの観察は一通り終わった状況にあるが，楽曲データを用いた本格的な検証実験はまだ十分とは言えず，それに伴い，論文化作業も中途段階にある．これら状況を踏まえ，自身の反省の意味も込めて自己評価を『やや遅れている』とする．
その大きな要因として，アルゴリズムの実装作業に想定していたよりも多くの時間を要したことがあげられる．今年度の実装作業においては，関連するライブラリの修正・追加作業も並行して行ったため，遅れを生じる結果となったが，この作業は最終年度のシステム開発作業を効率的に行うために不可欠なものであることから，研究遂行上，致し方ないものと考えている．
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| Strategy for Future Research Activity |
最終年度は，主に次の 2 点について研究を進めたい．
サイズ上位 N の極大 k-Plex クラスタを用いた類似楽曲検索の有効性検証：
現在整備中の RWC 研究用音楽データベースを対象に，信号レベルの情報とタグ情報を融合した高度な楽曲類似検索システムを実装し，その有効性を検証する．具体的には，各楽曲を，メル周波数ケプストラム係数ベクトル集合と付与されたタグの集合の和で表し，適当な類似性に基づき楽曲の類似関係を表すグラフを構築する．質問楽曲(フレーズ)Q が与えられると，Q と類似する楽曲集合に関する誘導部分グラフにおける上位 N の極大 k-plex を抽出する．それぞれの極大 k-plex は，ある観点からのクラスタを形成することから，Q の多用な解釈を与えるものとなる．これらクラスタをユーザに提示することで，ユーザは質問楽曲と類似した楽曲を様々な観点から検索可能となる．
楽曲の自動タグ付け手法の開発とその楽曲検索への応用：
各楽曲を，メル周波数ケプストラム係数ベクトル集合と付与されたタグ情報の集合の和で表したデータに対し，タグ情報を目標クラスとしたクラス相関ルール抽出を行うことで，信号情報によるタグ情報の特徴付けが得られ，所与の楽曲に対してタグ情報を付与することが可能となる．これを利用することで，質問楽曲に対するタグ情報群を推測し，それらを含む楽曲を検索結果として提示するシステムが実現できる．
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| Causes of Carryover |
所属機関の会計システムの都合上，年度内の実際の執行額と報告額には差が生じており，次年度使用額の大部分をこの差額が占めている．
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
上記理由により，次年度使用額に関する使用計画は不要である．
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