2015 Fiscal Year Research-status Report
比喩における創造的解釈の創発に関わる神経ネットワーク・認知メカニズムの解明
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26330245
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
寺井 あすか 東京工業大学, 社会理工学研究科, 助教 (70422540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠見 孝 京都大学, 教育学研究科(研究院), 教授 (70195444)
地村 弘二 慶應義塾大学, 理工学部, 准教授 (80431766)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 比喩解釈 / 創造的思考 / fMRI |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、「AはBだ」という形式で表現される名詞が名詞を喩える比喩文の解釈生成過程において、喩えられる語(A)、喩える語(B)のどちらにも由来しない新たな解釈(創造的解釈)が創発する現象の神経ネットワーク・認知メカニズムの解明を目的としている。今年度は、MRIを用いた脳活動の測定を伴う心理実験で得られたデータの解析を中心に実施した。実験では、「AはBだ」という形式で表現される文章を実験参加者に提示し、自由に口頭で文章の解釈を回答してもらい、その後、参加者自身に自らが回答した解釈が創造的か否かの評定を行ってもらった。解釈発話8~6秒前、6~4秒前、4~2秒前、2秒前~発話オンセットの4種類のタイムウィンドウを設定し、各タイムウィンドウにおける脳活動データを分析するとともに、計画的比較を行ったところ8秒前から発話オンセットにかけて腹側内側前頭前皮質と左側後頭側頭回において、非創造的解釈と比較し創造的解釈生成過程において有意に賦活が強くなることが明らかとなった。また、脳領域間の関連を明らかにすべく、賦活の増加が見られる8領域に関して心理生理交互作用(PPI)解析を実施した。その結果、非創造的解釈生成過程では8領域間のネットワークにあまり変化が見られないのに対し、創造的解釈生成過程では、腹側内側前頭前皮質を中心としたネットワークが徐々に見られなくなることが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成27年度に計画していたfMRI実験を終了させ、実験から得られたデータの解析をほぼ終了させることができた。また、予定していた国際学会、国内学会での発表を実施した。
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Strategy for Future Research Activity |
すでに終了した分析結果を論文としてまとめ、国際ジャーナルに投稿する予定である。 また、平成26、27年度に得られた成果に基づき実験計画を修正し、比喩という文脈における2つの概念の融合による創造的思考に関する時間動態を明らかにしたいと考えている。
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Causes of Carryover |
所属機関のMRIを利用することを想定し、4000円/1時間にて利用料金を算出していたが、他機関のMRIを利用できたことにより利用料金を削減することができた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究代表者の所属機関が変更されたことから、以前の所属機関のMRI、また並列計算機TSUBAMEの利用が全て学外利用となり、利用料金が増額される。そのため、それらの増額分に充当したいと考えている。また、異動に伴い、実験実施、打ち合わせのための旅費が必要となったため、それらにも使用したいと考えている。
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Research Products
(3 results)