2016 Fiscal Year Research-status Report
比喩における創造的解釈の創発に関わる神経ネットワーク・認知メカニズムの解明
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26330245
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Research Institution | Future University-Hakodate |
Principal Investigator |
寺井 あすか 公立はこだて未来大学, システム情報科学部, 准教授 (70422540)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楠見 孝 京都大学, 教育学研究科, 教授 (70195444)
地村 弘二 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 准教授 (80431766)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 比喩理解 / 概念融合 / 創造的思考 |
Outline of Annual Research Achievements |
「AはBだ」形式の比喩理解と、2つの単語「A」「B」の組み合わせ(概念融合)による、創造的な意味(解釈/特徴)の創発に関わる神経ネットワークを明らかにし、比較することで、2つの異なる概念の融合によるひらめき・創造に対する「比喩」という文脈の影響を明らかにすることを目的とした実験を実施した。実験では、2つの単語「A」「B」を同時に参加者に提示し、単語の組み合わせが表す特徴を自由に口頭で回答させ、その際の視線情報を計測した。その後、参加者自身に自らが回答した特徴が提示された単語に由来しない創造的な特徴か否かを評定してもらった。刺激は比喩理解に関する先行研究(Terai et al. 2015)で用いられた「AはBだ」における単語対(A,B)を用いた.これらの単語対は,新奇単語対(例:知識―廊下),慣習的比喩文「AはBだ」における喩えられる語(A)・喩える語(B)からなる比喩的単語対(例:知識―食物),字義通り文「AはBだ」における単語A・Bからなる字義通り単語対の各15対からなっており、3種類の単語対で共通の単語Aを共通単語,3種類の単語対において異なる単語Bを固有単語とした.その結果、比喩理解での創造的特徴生成過程においては有意に喩えられる語方向を注視しているのに対し、概念融合では固有単語(≒喩える語)を注視している傾向が示された。すなわち,喩える語,喩えられる語といった役割のない概念融合においては,単語対の条件(新奇単語対・比喩的単語対・字義通り単語対)間で異なる固有単語をより注視しており、比喩理解での喩えられる語への注視は「喩えられる語に適応可能な特徴か否かの評価」という評価メカニズムの存在を示唆している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験参加者募集が難航し、十分な数の参加者を集めることができなかった。そのため、平成29年度も引き続き実験を実施し、十分な数のデータを収集する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き視線計測を伴う実験を実施する予定である。さらに本実験課題と同様の課題を用いたfMRI実験を実施し、概念融合での創造的特徴生成過程における神経ネットワークを明らかにするとともに、平成27年度に明らかにした比喩理解での創造的特徴生成過程における神経ネットワークとの比較を行う予定である。
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Causes of Carryover |
参加者募集が難航し、十分な数の参加者を集めることができなかったため、平成29年度に引き続き実験を行うこととなった。また、本年度はfMRI実験の実験準備を行い、平成29年度に本格的に実験を実施する予定としている。そのため、研究費の繰越を行うこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
視線計測を伴う実験を引き続き実施し、参加者への謝金として使用する。また、他機関でのfMRI実験を実施するため、旅費、実験参加者への謝金として使用する予定である。さらに、最終年度であることから、これまでの成果をまとめ、公開するための論文投稿料として使用する予定である。
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Research Products
(2 results)