2014 Fiscal Year Research-status Report
fMRI・機械学習・形態測定学を融合した言語学習脳の構造的・機能的変化予測モデル
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26330246
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
赤間 啓之 東京工業大学, 社会理工学研究科, 准教授 (60242301)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
粟津 俊二 実践女子大学, 人間社会学部, 准教授 (00342684)
高野 裕治 日本電信電話株式会社NTTコミュニケーション科学基礎研究所, 人間情報研究部, リサーチアソシエイト (00424317)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | fMRI / 機械学習 / 形態測定学 |
Outline of Annual Research Achievements |
超高齢化社会を迎え,脳の可塑性に関して現在関心が高まっている。学習効果がもたらす脳の変化を検出するVBMという手法や、fMRI脳データに機械学習を適用し、未知の刺激に対する脳反応を予想するMVPAという手法が注目されている。研究代表者は、東京工業大学大学院社会理工学研究科に設置されたfMRI装置の管理者の一人として、本fMRI装置を利用し、言語刺激によるfMRI 賦活データの認知数理モデルの構築実験を行っている。それにより、人間の言語における認知的な活動においては、単にひとつのタスク関連領域が賦活するのみならず、様々な部位の、それ自体説明が難しい部分的活動が連動的に関与していること、またタスク方略の違いから来る個人差があることが解明されつつある。特に言語刺激に対する脳のfMRIデータの機械学習と意味連関の複雑ネットワークの融合という観点では、言語の意味ネットワークに対応する脳の賦活ネットワークを明らかにすると言う目標に一歩進み、複雑ネットワークを用いたfMRIデータの機械学習モデルについて、PLos One誌に掲載が認められ、現在刊行待ちである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2014年度には、目標とした計算神経グラフ言語学の理論の洗練化と完成という目標をおおむね達成できた。複雑ネットワーク上の2つの点の間の距離指標として、測地的情報と共起的情報を融合したMiF(Markov inverse F-measure; マルコフ逆F尺度)という計算法を新たに提案し、それを連想概念辞書から抽出した意味ネットワークに適用したところ、言語コーパスとしてきわめて小さなデータサイズにもかかわらず、MiF距離行列を用いると、Mitchell(2008)によるfMRIデータの機械学習モデルを改良でき、単語に関する連想タスクを行う脳の反応を有意な精度で予測することができることが判明した。 fMRI実験は2014年の前期を中心に、中国人留学生の日本語学習者に対して言語の切替を伴う単語連想タスクを行う実験を集中的に行った。方向性強化学習をプレタスクとするfMRIマルチセッション実験に関しては、現在、実験計画を練り直している。
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Strategy for Future Research Activity |
複数voxelパターン分析 (MVPA)を利用した晩期バイリンガルの研究はここで進んだが、シークエンシャルな統計学習を進める際の母国語の統語構造(単語順序)の干渉(統語的方向性の切替)に関しては、海外共同研究者Onnisらとの間で、当初想定していた従来よく使われる条件間の差分による対照分析ではなく、条件間のオーバーラップから脳の構造面・機能面での変化を統合的に考える実験デザインを見直す方向で再検討が始まった。そのため、今後、当初想定していた実験パラダイムをさらに越える革新的な方法論の熟考という形で研究を推進することになった。
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Causes of Carryover |
複数voxelパターン分析 (MVPA)を利用した晩期バイリンガルの研究はここで進んだが、シークエンシャルな統計学習を進める際の母国語の統語構造(単語順序)の干渉(統語的方向性の切替)に関しては、海外共同研究者Onnisらとの間で、当初想定していた従来よく使われる条件間の差分による対照分析ではなく、条件間のオーバーラップから脳の構造面・機能面での変化を統合的に考える実験デザインを見直す方向で再検討が始まった。そのため、今後、当初想定していた実験パラダイムをさらに越える革新的な方法論の熟考という形で研究を推進することになった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
以上のような経緯で、実験計画をさらに練り直した上で、新しい実験を開始するということになった。それは、Onnisの共同研究者でもあるCornell大学で行われている革新的なfMRIパルスシークエンスを知り得た結果、実験デザインをさらに高度化、革新化する必要性を認識したためである。そのため、平成26年度に発生した額は、あらたな実験とその準備費用として27年度に繰越しをおこなう。
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