2014 Fiscal Year Research-status Report
ネットワークの階層性を利用した遺伝子ネットワークの同定精度改善に関する研究
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26330275
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
木村 周平 鳥取大学, 工学(系)研究科(研究院), 教授 (20342777)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 遺伝子ネットワーク同定 / 階層構造推定 / 疑似焼きなまし法 |
Outline of Annual Research Achievements |
ネットワークの階層構造を利用することで遺伝子ネットワーク同定精度の改善を行うために必要となる,高速な遺伝子ネットワーク同定法の開発を行った.具体的にはS-systemモデルと呼ばれる微分方程式モデルを簡略化したreduced S-systemモデルを利用し,reduced S-systemモデルの性質を利用することで,N遺伝子からなるネットワークの同定問題をN個の2次元関数最適化問題として定式化する方法を提案した.これにより遺伝子ネットワークの同定に失敗する可能性を低く抑えながら,しかも高速に行うことが可能となった.数値実験により,30遺伝子からなるネットワークの解析を現実的な時間内に実行できることを示した.本研究の成果は,雑誌IPSJ Transactions on Bioinformatics, Vol.7, pp. 30-38, 2014において「An Effective Method for the Inference of Reduced S-system Models of Genetic Networks」というタイトルで発表した.また国際会議にて発表も行った(Proc. of 2014 International Conference on Information Systems and Computing Technology, pp, 45-50, 2014, 「A Fast Parameter Estimation Method for Inferring Reduced S-system Models of Genetic Networks」).さらに2015年3月20日に開催された情報処理学会第41回BIO研究発表会において「遺伝子ネットワークのreduced S-systemモデルの効率的同定法の提案」というタイトルで発表を行った.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では当初より初年度は遺伝子ネットワークの高速な同定法を開発する予定であった.この手法の開発は予定通りに進んでおり,既に論文誌での発表も行っている.従って研究は順調に行われていると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は提案した遺伝子ネットワーク同定法とブートストラップ法を組み合わせ,大量のネットワークを出力する方法を作成し,さらに生成した大量のネットワークからネットワークの階層構造を推定する方法を開発する予定である.なお大量のネットワークからの階層構造推定には多くの計算が必要になると考えられるため,平成27年度に購入予定の並列計算機を使用する予定である.従って効率的な計算のために,購入した並列計算機に適した計算アルゴリズムも開発する必要がある.
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Causes of Carryover |
予定していた国際会議に参加することが出来なくなり,代わりに国内で開催された国際会議に参加した.その結果,海外渡航費が不要となり,結果として次年度使用額が生じた.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度に参加予定の国際会議の開催地が想定していたよりも遠方(アイルランド・キラーニー)となり,予定よりも大幅に出張旅費が必要となると考えられる.また乗り継ぎの関係で,途中の中継地で1泊する必要も考えられ,そのための経費に充てる予定である.また当初予算の減額により私費による支払いを想定していた学会参加費にも充てる予定である.なお既に当該国際会議に対して論文投稿は済んでおり,論文の採録通知も受け取っている.
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