2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26330280
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
伊達 章 宮崎大学, 工学部, 准教授 (60322707)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 数理脳科学 / 学習・記憶 / 自己組織化 / 構成性 / 数理モデル / 神経回路モデル / ニューラルネットワーク / 情報表現 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳が自己組織能力を持ち,外界の情報に合わせて自己を変えていく事は間違いない.本研究は,情報認識構造の自己形成のもととなる最も簡単な数理モデルを考え,脳における表現(概念の形成機構,概念間の連合など)の基本的な論理を探ることを目的としている.第3年度である平成28年度においては,主に以下の2つの研究を進めた.
1) B.Davis(1985)の自己組織化モデルの追実験を試みた.Davisのモデルは,自己組織的に素子を追加し学習することで問題を解決する,パーセプトロンの問題点を克服するモデルであり,Rumelhart ら (1986) の誤差逆伝搬法によりも前に提案されている.たとえば,XOR 問題では,入力信号群が線形分離できないため,出力が1個のニューロン回路では解決できないが,x_3 = x_1x_2 という入力素子を新たに追加し次元を一つ上げると,信号群が線形分離され学習が可能になる.この手法は,必要な素子を追加する手順に,脳のモデルとして不自然な点があるためか,現在では忘れられているが,何か重要な性質が隠されている可能性が高い.他の自己組織化モデルと性能を比較する目的もありDavis の手法を実装し実験した.
2) Deep Learning で使用されている多層神経回路モデルには,「構成(Compositionality)を表現できない」という致命的な欠陥がある.この問題を解決すべく S.Geman らが提案している Committed Complex Cell モデル(Anishchenko, 2006),構成性の数理モデル(Jin, 2006)を,自己組織神経回路モデルの観点から数値実験による解析をおこない,その数学的性質を調べた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要のとおり,いくつかの神経回路モデルについて,数理解析と数値実験を実施できている.ただし,成果を査読付き論文誌に投稿するまでには至っていない.
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は以下の研究を推進する予定である.
1. 第3年度までに研究した数理モデルについて,引き続き研究を続ける. 2. Committed Complex Cell モデル(Anishchenko, 2006),構成性の数理モデル(Jin, 2006)を,自己組織神経回路モデルの観点からその数学的性質を調べる. 3. Davis の自己組織神経回路モデル(Geman 1981, Davis, 1986) を発展させる.
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Causes of Carryover |
年度末に使用する旅費について,滞在日数を,ほかの仕事との関係で,当初の予定より短くしたため.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度に研究会参加費として使用する予定である.
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