2016 Fiscal Year Research-status Report
高次元ニューラルネットワークによる逆問題解法と正則化
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26330284
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Research Institution | Takushoku University |
Principal Investigator |
小川 毅彦 拓殖大学, 工学部, 教授 (50297090)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ニューラルネットワーク / 高次元数 / 四元数 / 複素数 / 表面筋電位 / 姿勢推定 / 移動ロボット / 軌道計画 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高次元ニューラルネットによる逆問題解法についての手法を提案し、さらに実際の工学的問題への展開によって有効性を実証することを目的としている。 本年度は、応用の1つとして生体信号による3次元姿勢の推定の問題を考え、データの計測と計算機シミュレーションを行った。最初に予備実験として、前腕部の表面筋電位とじゃんけん動作の関係の学習・推定を取り上げ、じゃんけん動作に対する2チャンネル表面筋電位の測定を行い学習データとした。四元数ニューラルネットを用いて3つのじゃんけん動作を2チャンネル波形入力との関係の学習と推定を行った。続いて、上腕部の多チャンネル表面筋電位を考え、腕の3次元姿勢に対する波形を測定し、ニューラルネットの学習用データとした。四元数ニューラルネットを用い、多チャンネル筋電位と3次元姿勢の四元数入出力に対する学習と推定を行った。また、四元数ニューラルネットの効果として、学習データの次元と推定精度の比較を行い有効性を示した。これらの結果を研究会で発表した。もう1つの応用として、移動ロボットの軌道計画問題を考え、問題設定と計算機シミュレーションを行った。ロボットの現在位置から軌道を生成する問題に、複素ニューラルネットによる学習・推定を導入することを提案し、データを作成して計算機シミュレーションを行った。複素ニューラルネットの効果として、学習データの次元と推定精度の比較を行い有効性を示した。 以上のように、本年度は高次元ネットワークインバージョンの応用への取り組みとして、四元数ニューラルネットを用いた生体信号による姿勢推定の問題と、複素ニューラルネットを用いた移動ロボットの軌道計画の問題を検討した。次年度はさらに有効性を示すために実験および計算機シミュレーションによる検証を進める。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
高次元ニューラルネットによる逆問題解法に関して理論的に検討し、さらに実際の工学的問題に応用することを目的としている。本年度は高次元ニューラルネットの工学的応用を目的として、生体信号である多チャンネル表面筋電波形と前腕姿勢を四元数で表現し、その関係を四元数ニューラルネットで学習および推定することを試み有効性を示した。この取り組みを国内学会の研究会で発表し、さらに内容を精査・再検討して国際学会で発表する準備をしている。もう1つの工学的応用として、移動ロボットの位置と軌道を複素数で表現し、その関係を複素ニューラルネットによって学習と推定することを提案した。この取り組みについても国内外の学会で発表する準備を行っている。 以上より、高次元ニューラルネットに関する基礎的検討に基づく工学的問題への応用として、概ね順調に進展しているものと捉えている。現在行っている検討をさらに進展させ、発表を行っていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題では、高次元ニューラルネットに関する基礎的研究とその応用研究の両面から研究を進めている。 基礎的研究としては、現在行っている複素および四元数ネットワークインバージョンにおける逆推定の特性を計算機実験によって定量的に検証して本手法の有効性を明らかにしていく。逆問題の不良設定性の影響とともに定量的な検証を行い、本手法の適用限界を明らかにする。これらについては、成果をまとめて論文投稿を行う。 応用研究としては、複素および四元数ニューラルネットを移動ロボットの軌道計画や生体動作推定に応用することを提案しているが、これらの研究をさらに進めてその効果を実験によって明らかにしていく。それぞれの問題について定量的な検証を行い、高次元ニューラルネットの有効性を明らかにする。これらの応用研究についても、成果をまとめて研究発表を行う。 以上の通り、本研究課題では高次元ニューラルネットに関する基礎的研究および応用研究として、それぞれのテーマで研究をまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
申請額と実支出額との差異が生じている主な部分は、旅費と人件費・謝金である。旅費については、申請段階では海外で開催される国際会議での発表を計画していたが、本年度は国内学会に発表を行ったため、予定よりも支出が少なくなった。人件費・謝金については、学生アルバイトを使って実験やデータの整理を計画しており、実際に作業を実施した。しかし予定よりも少ない人数・時間で済ませることができたため、予定よりも支出が少なくなった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は、高次元ニューラルネットに関して研究発表を予定しているため、成果発表のための旅費については増加する見込みである。また、大量のデータを利用しての実験を予定しているため、そのデータ整理と合わせて、これまであまり支出してこなかった人件費・謝金についても増加するものと想定している。
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Research Products
(2 results)