2016 Fiscal Year Research-status Report
形質の保全と戦略的獲得に基づく大規模木構造のための遺伝的プログラミング
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26330290
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
花田 良子 関西大学, システム理工学部, 准教授 (30511711)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 景子 龍谷大学, 理工学部, 講師 (80550235)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 遺伝的プログラミング / 木構造 / 局所探索 / 交叉 / 確率モデル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,自律制御のためのプログラム生成など,木構造で表現される設計問題において,最適な構造を効率的に探索するための遺伝的プログラミングの汎用性の高い探索手法を開発することである.具体的には我々が提案している多段階探索交叉に,さらに効率的な形質遺伝のオペレータおよび成長スキームを導入する.多段階探索交叉は木の成長を抑制しつつ,両親の形質を受け継がせることを目的とした近傍探索に基づく交叉である. 平成28年度は,親子のノードの依存を考慮した確率表を持たせた確率木に基づく多段階探索交叉,および確率表をもとにした解の生成法を開発した.手法の評価検証には多く用いられるベンチマークである連続関数同定問題の例題を用いた. 確率木では,過去の試行を含めた探索過程で得られる優秀な解集合をもとに,各ノードにおいて,自身とその親の記号の全組合せの出現頻度を記録した確率表が保持される.複数試行の探索を通して確率木を更新し,多段階探索交叉の近傍探索におけるノードの発生,削除の操作の際に,その記号分布を適用した.その結果,解に致命的な影響を及ぼす形質(致死形質)が抑制され,探索の早い段階で発見的に最適解が得られることから,良好な解の情報を利用することで,優良な形質の形成が促進されることを示した. さらに,確率表をもとにルートノードに確率的に子ノードを逐次追加して得られた木を初期個体として種々のGPで探索を行ったところ,最適解への到達率が大きく向上した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度の課題は,逐次処理,条件分岐の要素で記述される大規模な行動則の設計問題を対象として,多段階探索交叉の適用指針について検証するものであった.連続関数同定問題の中でも解の自由度の高くない例題においては大きな性能向上が見られた一方で,簡単なエージェント制御の問題において,確率木を導入した多段階探索交叉を適用したところ大きな性能向上が見られなかった.そのため,連続関数同定問題を対象に,解探索過程での形質の性質について得られた解をもとに分析を行い,確率木を用いた多段階探索交叉がうまく機能するための,問題に依存しない探索の方針を得た.成果の一部は国内学会,国際会議で発表済みである.以上のことから,平成28年度の目標にそった課題は達成していると考える.
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Strategy for Future Research Activity |
目的関数が対称性の強い谷を多く有するランドスケープの例題に対して,これまで用いてきた過去の探索情報を記録した確率木はその点を考慮しないため,すべての谷に共通して良好な形質は促進,致死形質は抑制されているが,一方で確率木を更新する解の多様性が非常に高く,しばしば一つの谷に絞った探索が困難であることがわかった.そのため,大域的な探索性能を向上させるには,過去の探索で得られる優良解を分類,複数の確率木で表現し,複数母集団で固有の探索を行う枠組みが必要である.また,例題によっては,初期個体の評価値分布が,ランダムに生成した場合の分布より悪化しているにもかかわらず,結果的に最適解が多く得られる例題が存在し,探索初期での評価値と解の質の関係についてさらに検証する必要があることがわかった.今後,これらの2点を解決することが課題である.
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Causes of Carryover |
逐次処理,条件分岐の要素で記述される大規模な行動則の設計問題に対する,多段階探索交叉の適用指針について検討するにあたり,優良解を分類,複数の確率木で良好な形質の保存を行うなどアルゴリズムの面,計算コストの面でさらに改善すべき課題があり,それらの解決とその研究報告を次年度,引き続き行うため期間延長を希望した.
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
手法の評価実験のためのワークステーションを1台(250,000円ほど)購入を考えている.また,研究成果報告のための国内外の出張にその残りを使用する予定である.
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Research Products
(5 results)